本教材の定価は「3万円」です。

【本教材の価格について】
本教材の定価は「3万円」です。
しかしながら公開から3日は「300円」で提供いたします。
これは先行者に報いるための価格設定です。
私は、アーリーアダプターを「えこひいき」します。

【本教材の概要】

本書は、スイスで生まれた世界的なベストセラービジネス書『ビジネスモデル・ジェネレーション』を、物語の形で、誰にでも分かりやすく、そして面白く解説するエンターテイメント自己啓発書です。

本書は、長年努力しているにもかかわらず、全く成果が出ない、稼げないと悩んでいるすべての人々を対象としています。特に、良いものを作っている自信はあるのに、なぜかそれがお金に結びつかないと感じているクリエイター、専門家、そして起業家の方々が抱える「どうすれば自分の価値を収益に変えられるのか？」という根源的な問題を解決します。

その解決策として、本書では「ビジネスモデル思考」という、儲けの全体設計図を描くための知恵を提示します。借金4000万円を抱える落ちこぼれの主人公マズオと、ビジネスの神マーベルとの対話を通じて、読者はまるで面白いライトノベルを読むかのように、ビジネスの「型」や「儲けの仕組み」を自然と学ぶことができます。難解な専門用語は一切使わず、豊富な比喩と具体的なストーリーで、あなたのビジネスのどこに問題があるのか、そしてどうすればそれを改善できるのかを、明確に描き出します。

本書を読み終える頃には、自分のビジネスを客観的に分析し、改善するための「魔法の地図」を手に入れていることでしょう。

【本教材を作った理由】

私が本書を執筆しようと決意した理由は、極めてシンプルです。それは、一人でも多くの人に、経済的な自由を手に入れるために必要な「知恵」を授けたい、ただその一心からでした。

世の中には、お金持ちになるための方法を説く本や情報が溢れています。しかし、その多くは、特定の投資手法や流行りのマーケティングテクニックといった、いわば「魚の釣り方」の一部、枝葉の部分しか教えてくれません。もちろんそれらも重要ですが、もっと根本的な問いに答えてくれるものは、ほとんどありませんでした。それは、「そもそも、なぜあるビジネスは儲かり、あるビジネスは儲からないのか？」という、商売の根源的な構造に関する問いです。

その答えこそが、「ビジネスモデル」です。ビジネスモデルとは、あなたがお金を生み出すための、全体的な設計図そのものです。この設計図の描き方を知っていれば、あなたは自分のビジネスを始める時も、今ある仕事に活かす時も、あるいは転職や副業を考える時でさえ、圧倒的に有利な立場を選べます。

なぜなら、ビジネスモデルを知るということは、森全体を地図で眺めるようなものだからです。多くの人が、一本の木（例えば、集客方法や商品開発）にばかり気を取られて道に迷っている中で、あなたはどのルート（儲け方）を選べば、最も早く、そして安全に目的地（経済的成功）にたどり着けるかを、冷静に判断できるのです。

本書は、そのための「地図の読み方」を、物語を通じてあなたにお伝えします。この知恵さえあれば、あなたはもう、小手先のテクニックに振り回されることはありません。あなた自身の力で、富を生み出す「儲けのエンジン」を設計し、人生の主導権を取り戻すことができる。私は、その信念のもと、本書を創り上げました。

【なぜ「対話形式」なのか ────本教材の構成について】

本書を手に取っていただいたあなたは、もしかしたら少し不思議に思われたかもしれません。「なぜ、ビジネス書なのに、神様と人間の対話という物語形式なんだろう？」と。その疑問は、もっともです。

私が本書をあえて「対話形式の物語」にしたのには、明確な理由があります。それは、ビジネスモデルという非常に重要でありながら、少し複雑な概念を、あなたの脳に最も深く、そして永続的に刻み込むための、最良の方法だと確信しているからです。

考えてみてください。あなたが学生時代に学んだ教科書の内容を、今どれだけ覚えていますか？おそらく、無味乾燥な事実や公式の羅列は、そのほとんどが記憶の彼方に消え去っているのではないでしょうか。人間の脳は、残念ながら、ただの情報の羅列を記憶するのが非常に苦手です。それはまるで、乾いた砂に水を撒くようなもので、すぐに蒸発してしまいます。

一方で、子供の頃に読んだ絵本や、夢中になった漫画、感動した映画はどうでしょう。そのストーリーや登場人物のセリフは、何年、何十年経っても、鮮明に思い出すことができるはずです。なぜなら、私たちの脳は、「物語」を記憶するようにできているからです。登場人物に感情移入し、その成功や失敗に心を動かされることで、情報は単なるデータではなく、忘れられない「体験」として脳に刻み込まれます。

本書は、この脳の性質を最大限に活用するために設計されています。

あなたは、主人公であるマズオに自分自身を重ね合わせることになるでしょう。彼の13年間の苦悩に共感し、神マーベルの鋭い指摘にハッとし、そして、彼が新しい知恵を得て逆境を乗り越えていく姿に、胸を躍らせるはずです。

「ビジネスモデル・キャンバス」や「ロングテール戦略」といった概念は、もはや無機質な専門用語ではありません。それは、マズオが絶望の淵から這い上がるための「武器」であり、あなたが現実世界で戦うための「魔法の呪文」として、物語の感動と共に、記憶に深く定着します。

論文のように正しいだけの本なら、他にもたくさんあります。しかし、私はあなたに、ただ知識を「知って」ほしいのではありません。その知恵を「使える」ようになってほしいのです。そして、何より、ビジネスを学ぶという行為そのものを、「楽しんで」ほしい。

だから、あえて対話形式の物語にしました。

【本教材を読み終えたとき、あなたが手に入れるもの】

本書の最後のページを閉じたとき、あなたは単に一つの物語を読み終えただけではありません。あなたの目には、今までとは全く違う世界が映っていることでしょう。そして、あなたの手の中には、これからの人生を自らの力で切り拓くための、2つの強力な武器が握られています。

1つ目は、「世界を見通す新しい『メガネ』」です。

あなたは、ビジネスモデルという概念を、腹の底から理解します。なぜあの店は行列が絶えないのか、なぜあのサービスは無料で使えるのか、なぜ自分の給料はこの金額なのか。今まで何気なく見ていた日常の風景や、複雑に見えた経済ニュースの裏側にある「儲けの仕組み」が、驚くほどクリアに見えるようになります。この世の中が、どんな論理で動いているのか。その基本原理を、完全に理解するのです。

2つ目は、「未来を選ぶための『羅針盤』」です。

あなたは、この世界にどんな「儲け方」「稼ぎ方」が存在するのか、その主要なパターンを知ります。そして、それぞれのモデルがどんな強みと弱みを持っているかを理解しているため、自分自身の状況や目標に合わせて、最適な道筋を「選べる」ようになります。もうあなたは、他人の成功法則に振り回されたり、闇雲に努力して消耗したりすることはありません。たくさんの選択肢の中から、最も自分に合った、最も成功確率の高い「稼ぎ方」を、自らの意思で選び取ることができるのです。

本書があなたに約束するのは、小手先の儲け話ではありません。それは、変化の激しい時代を生き抜くための、普遍的で本質的な「知恵」です。この知恵さえあれば、どんな状況に置かれても、ゼロから価値を生み出し、経済的な自由を築き上げることが可能になります。

【私は目先のお金よりも「信頼」を取る】

本書を制作するにあたり、何人かのサブスクメンバーから同じような忠告を受けました。「そんなに有益な情報を、公開して大丈夫ですか？もったいないです。もっと高額なセミナーにしたり、コンサルティングの切り札として隠しておくべきだ」と。

確かに、一昔前までの常識では、それが正しかったのかもしれません。価値ある情報は独り占めにし、限られた人にだけ高く売る。それが、賢いビジネスのやり方だとされてきました。

しかしながら、私はその発想こそが、現代においては完全に時代遅れだと考えています。

私たちは今、情報が洪水のように押し寄せる時代に生きています。インターネットを開けば、ありとあらゆる知識やノウハウが、無料で手に入る。どんなに画期的なアイデアも、どんなに有益な情報も、いずれは誰かによって発見され、世に広まっていく。情報を「隠す」ことの価値は、日に日に薄れています。

では、この情報氾濫の時代において、最終的に一番大きな利益を手にするのは、一体どんな人でしょうか？

私は、こう確信しています。それは、「誰よりも速く、そして誰よりも惜しみなく、有益な情報を与える人」です。

なぜなら、その人は、お金では決して買うことのできない、最も貴重な資産を手に入れることができるからです。その資産とは、人々からの「信頼」です。

「あの人の言うことなら、間違いない」「あの人は、いつも私たちのことを考えて、本当に価値のあるものを与えてくれる」。この信頼こそが、現代のビジネスにおいて、最も強力なエンジンとなります。信頼があれば、自然と人が集まり、ビジネスは驚くほどスケールしやすくなるのです。

考えてみてください。目先の利益のために、価値ある情報を隠し、出し惜しみする人。その人は、短期的には儲かるかもしれません。しかし、長期的に見れば、人々からの信頼を失い、やがて誰からも相手にされなくなるでしょう。

一方で、たとえ一時的に損をしたように見えても、自分の持つ最高の知恵を惜しみなく与え続け、人々からの「信頼」という名の貯金を積み重ねた人。その人は、長期的には、計り知れないほど大きなリターンを得ることになります。

本書は、まさにその思想に基づいて創られています。私がこの物語を通じて、ビジネスモデルという極めて強力な知恵を、包み隠さずあなたにお伝えしようと決めた理由。それは、目先の利益よりも、本書を読んでくださったあなたからの「信頼」を得ることの方が、何百倍も、何千倍も価値があると信じているからです。

この本が、あなたにとって本当に価値あるものであったなら、ぜひその感動を、あなたの周りの大切な人にも伝えてあげてください。そうして信頼の輪が広がっていくことこそが、私にとって最高の報酬なのです。

【あなたは、ただ物語を読み通すだけでOK】

さて、本書を最大限に活用していただくにあたり、あなたにお願いしたいことは、実はたった一つだけです。それは、「難しく考えず、ただこの物語を最後まで楽しく読み通してください」ということです。

本書の中心は、主人公マズオと神マーベルが織りなす「対話形式の物語」です。あなたは、何かを必死に覚えようとしたり、ノートを取ったりする必要は一切ありません。ただ、一人の男の波乱万丈な人生を追体験するように、物語に没頭してください。そうするだけで、ビジネスモデルの神髄や、具体的な儲け方の知恵が、ごく自然に、そして深くあなたの脳にインストールされるように設計されています。

一度だけではなく、ぜひ二度、三度とこの物語を読み返してみてください。そうすることで、本書で語られるビジネスの原理原則は、あなたの意識的な知識から、無意識レベルの「直感」へと昇華されていくでしょう。

そのレベルに到達した時、あなたはもはや、お金を稼ぐために必死に努力する必要はなくなっているはずです。例えば、新しいSNSアカウントを立ち上げてから、それが収益を生み始めるまで、おそらく1ヵ月から長くても3ヵ月程度しかかからないでしょう。あなたは、まるで呼吸をするかのように、様々な状況に応じて最適な金儲けの手法を自在に使いこなせるようになっているからです。

難しいことは何もありません。これから始まる物語のページを、ただめくっていくだけでいいのです。そうすれば、旅の終わりには、ビジネスの奥義を体得した、新しい自分に出会っていることでしょう。

それでは、あなたを億万長者の思考へと導く、神との対話をお楽しみください。

・全目次について
以下に、本書のすべての内容を網羅した「全目次」を公開しています。
ただの目次ではありません。あなたが本書を読み終えた後に、どんな知識と知恵を手にしているのかが、具体的におおよそわかるくらい、詳細な内容になっています。
通常、多くの書籍や教材では、目次は抽象的であったり、あるいは購入するまでその全貌が隠されていたりします。それでは、せっかくお金と時間を投資してくださったあなたが、読み終えた後に「思っていた内容と違った…」とがっかりしてしまう可能性があります。それは、著者として最も避けたいことです。
そこで私は、本書の設計図である目次を、すべて公開することにしました。以下の目次をサラッと見てみてください。

☑️全目次

1. 【本教材の概要】

2. 【本教材を作った理由】

3. 【なぜ「対話形式」なのか ────本教材の構成について】

4. 【本教材を読み終えたとき、あなたが手に入れるもの】

5. 【私は目先のお金よりも「信頼」を取る】

6. 【あなたは、ただ物語を読み通すだけでOK】

7. ☑️全目次

8. 🟦タイトル：『この世の稼ぎ方すべて────ビジネスモデル完全攻略』

9. 【あらすじ】

10. 【登場人物の紹介】

11. 【本編：開始】

12. プロローグ：借金4000万、読者ゼロ。神は死んだと叫んだ夜

12-1. ☆蛍光灯の下の絶望

12-2. ☆誰にも読まれない教養コンテンツ

12-3. ☆現実という名の督促状

12-4. ☆SNSが映し出す残酷な格差

12-5. ☆神は死んだと叫んだ夜

13. 第1章：世界を「見える化」する魔法の地図～ビジネスモデル・キャンバスの衝撃～

14. 第1話：お前のビジネスは「空っぽ」だ！

14-1. ☆マーベル、降臨の儀式はコンビニのイートインで

14-2. ☆ビジネスとは何か？ 13年目にして根源的な問い

14-3. ☆神が描いた9つのマス目

15. 第2話：9つのブロックで丸裸！悲惨なる我がメルマガの構造分析

15-1. ☆顧客不在のビジネスモデル

15-2. ☆空欄だらけのキャンバス

15-3. ☆肥大化するコストという怪物

15-4. ☆幻想の崩壊

16. 第3話：なぜ稼げないのか？答えはすべて「絵」の中にあった

16-1. ☆全体像という視点

16-2. ☆システムの呪縛

16-3. ☆ビジネスごっこの終わり

17. 第2章：億万長者たちのビジネスの「型」を知る

18. 第1話：分解せよ！「アンバンドリング」という神のメス

18-1. ☆お前は何屋なんだ？

18-2. ☆3つの異なるビジネス

18-3. ☆ごちゃ混ぜ経営の悲劇

18-4. ☆研究者マズオと商人マズオ

19. 第2話：チリも積もれば億となる！「ロングテール」の法則

19-1. ☆ベストセラーという呪い

19-2. ☆恐竜の尻尾に眠る金脈

19-3. ☆問いの転換

19-4. ☆ニッチの集合体が市場を喰らう

20. 第3話：お前は舞台を作れ！「マルチサイド・プラットフォーム」という錬金術

20-1. ☆金は客からだけもらうな

20-2. ☆鶏が先か、卵が先か

20-3. ☆仲間という概念

20-4. ☆舞台装置としてのビジネスモデル

21. 第4話：「タダ」で客を釣り上げろ！「フリー」という最強の撒き餌

21-1. ☆人は無料に抗えない

21-2. ☆フリーミアムという名の釣り針

21-3. ☆95%を捨てる勇気

21-4. ☆無料という名のフィルター

22. 第5話：他人の力で成り上がれ！「オープン・ビジネスモデル」という生存戦略

22-1. ☆一人で戦う時代の終わり

22-2. ☆借りる力、貸す力

22-3. ☆コラボレーションという名のエンジン

23. 第3章：無から「金脈」を掘り当てる～最強のビジネスを創造するデザイン思考～

24. 第1話：「顧客」とは誰だ？「顧客インサイト」でペルソナ爆誕！

24-1. ☆お堅い論文を捨て、妄想する夜

24-2. ☆顧客の頭の中を覗くエンパシーマップ

24-3. ☆巨大なニーズの発見

24-4. ☆天命との遭遇

25. 第2話：アイデアは質より量！ブレインストーミングとプロトタイピング

25-1. ☆くだらないアイデアを笑うな

25-2. ☆神様と二人きりのアイデアソン

25-3. ☆まずは小さく試せ

26. 第3話：人は「物語」で動く！「ストーリーテリング」で信者を作れ

26-1. ☆市場からの最初の返信

26-2. ☆正しいだけでは人は動かない

26-3. ☆最強の物語を紡げ

26-4. ☆文体という名の魔法

27. 第4章：勝利を確定させる「神の視点」～無敵の戦略と実行プロセス～

28. 第1話：誰もいない海へ漕ぎ出せ！「ブルー・オーシャン戦略」

28-1. ☆戦わずして勝つ

28-2. ☆新しい市場を「創造」する

28-3. ☆愛国ビジネスのブルー・オーシャン

29. 第2話：神の地図を手に、進軍せよ！ビジネスモデルの評価と実行計画

29-1. ☆戦略から戦術へ

29-2. ☆キャンバスをToDoリストに変える

29-3. ☆勝利のための最後のチェック

29-4. ☆SWOT分析という名の羅針盤

29-5. ☆売れっ子愛国作家への道

30. 終章：さらば、コンビニバイト。こんにちは、億万長者

30-1. ☆最初の奇跡

30-2. ☆熱狂の連鎖

30-3. ☆ベストセラー作家、爆誕

30-4. ☆広がるビジネス、消える借金

30-5. ☆神との別れ

31. エピローグ：次なるビジネスモデル

31-1. ☆新たなる野望

32. 🟦大いなる復習～神との最終問答～

33. プロローグ：タワーマンションでの再会

34. 第1問：ビジネスモデルとは、そもそも何なのか？

34-1. ☆物語としてのビジネスモデル

34-2. ☆論理と情理の融合

35. 第2問：この世には大きく、何個のビジネスモデルがあるのか？

35-1. ☆無数のモデルと5つの「原型」

35-2. ☆各パターンの本質的な役割

35-3. ☆モデルは掛け算で進化する

36. 第3問：なぜ一般に、ビジネスモデルについてあまり語られないのか？

36-1. ☆見えない「空気」としてのビジネスモデル

36-2. ☆言語化の難しさと、思考停止の罠

36-3. ☆語る者だけが未来を創る

37. 第4問：何を揃えればお金が入ってくるのか？

37-1. ☆儲けのエンジンを組み立てる

37-2. ☆ビジネスの4大構成要素

37-3. ☆13年間のエンジン故障の原因

38. 第5問：まとめとして、秀逸なビジネスモデルとはどういうものなのか？

38-1. ☆自己増殖するシステム

39. 第6問：なぜビジネスモデルについて熟知することが、リッチにつながるのか？

39-1. ☆魚ではなく、釣り方を学ぶ

39-2. ☆最後の授業の終わり

40. 🟦マズオの大いなる飛躍～神をも超えるビジネスモデルの創造～

41. プロローグ：雲の上での再会

42. 第1話：価値提案の再定義～モノではなく「意味」を売る～

42-1. ☆指輪はなぜ500万円でも売れるのか

42-2. ☆ビジネスモデル・キャンバスの進化

43. 第2話：不安と希望の収益化～見えざる敵を創造する～

43-1. ☆暗黒舞踊の真実

43-2. ☆負の念という巨大市場

43-3. ☆不安解消ビジネスの構造

44. 第3話：情報の階層化と独占～知識ではなく「秘密」を売る～

44-1. ☆月額30万円の価値

44-2. ☆知識のピラミッド構造

44-3. ☆独占と希少性の演出

45. 第4話：コミュニティの国家化～信者ではなく「国民」を作る～

45-1. ☆年会費1億円の秘密結社

45-2. ☆価値提案としての「統治参加権」

45-3. ☆国家モデルの構造

46. 第5話：神話の創造～3兆円のオブジェに込められた永遠～

46-1. ☆ギガ・ニッポンの誕生

46-2. ☆価値提案としての「永遠性」

46-3. ☆究極のビジネスモデル

47. エピローグ：神話の始まり

48. 🟦究極の補講～黄金のルーティンを肯定せよ～

49. プロローグ：成功者の憂鬱

50. 第1話：儲けのアルゴリズムを発見せよ

50-1. ☆結論から言おう

50-2. ☆仕事の本質とは何か

51. 第2話：黄金のルーティンを回す人々

51-1. ☆成功者のすっきりとした顔の理由

51-2. ☆試行錯誤の果ての境地

51-3. ☆老舗和菓子屋の教え

52. 第3話：思考停止で走り続けろ

52-1. ☆儲かっているなら、それが正解だ

52-2. ☆隙間時間で次の種を蒔け

52-3. ☆誇り高き職人であれ

52-4. ☆目覚め

53. 【超濃密なまとめ】

54. 【用語集】

55. 【おわりに】

🟦タイトル：『この世の稼ぎ方すべて────ビジネスモデル完全攻略』

【あらすじ】

本物語は、東京大学大学院を卒業しながらも、13年間全く稼げずにコンビニでアルバイトをする天野益生（マズオ）が、人生のどん底でビジネスの神「マーベル」と出会い、億万長者へと駆け上がっていく現代のシンデレラストーリーである。

物語は、大きく3つの部で構成される。

第一部：基礎編～神との出会いとビジネスモデルの覚醒～

借金4000万円を抱え、自らが運営する有料メルマガの読者ゼロという絶望的な状況にあったマズオ。ある泥酔した夜、彼の前に突如、ビジネスの神マーベルが現れる。マーベルは、マズオが稼げない原因は「ビジネスモデル」の欠如にあると一刀両断する。そして、あらゆるビジネスの構造を可視化する魔法のツール「ビジネスモデル・キャンバス」を授け、マズオ自身のビジネスがいかに破綻しているかを徹底的に解剖していく。ここでマズオは、コンテンツの質さえ高ければ売れるという13年間の幻想から目覚める。

第二部：応用編～億万長者たちの「型」と「愛国ビジネス」の創造～

マーベルは、成功者たちが用いてきた5つの強力なビジネスモデル・パターン（アンバンドリング、ロングテール、フリーミアムなど）をマズオに伝授する。さらに、デザイン思考を用いてマズオ自身の情熱の源泉を探り、彼の天命が「愛国」にあることを見出す。マズオは、お堅い経営思想を捨て、「ラノベ風に日本の神話を語る」という、エンターテイメント性の高い新しい価値提案を創造。マーベルから授かった「型」を組み合わせ、読者の心を掴む独自の「愛国ビジネスモデル」の設計図を完成させる。

第三部：飛躍・補講編～神を超えた男と成功の本質～

マーベルの教えを忠実に、しかし大胆に実行したマズオは、瞬く間に「売れっ子愛国作家」として大成功を収める。彼のビジネスは、一個500万円の指輪や年会費1億円の秘密結社など、常軌を逸したスケールへと飛躍。それは、もはやマーベルが教えた「型」すら超える、新しい「神話」の創造であった。しかし、その成功の果てにマズオは「毎日同じことの繰り返しで稼ぐこと」への罪悪感という新たな苦悩に苛まれる。再び現れたマーベルは、「儲けのアルゴリズムを発見し、それを繰り返すことこそが商売の本質である」と説き、マズオを最後の迷いから解き放つ。最終的にマズオは、ビジネスモデルという知恵を完全にマスターし、日本の未来をデザインするという、次なる壮大な物語へと歩みを進めるのであった。

【登場人物の紹介】

マズオ

本作の主人公。東京大学大学院卒という高い学歴を持つが、情報発信で全く稼げず、コンビニの深夜バイトで生計を立てる35歳。借金は4000万円超。プライドが高く頭でっかちで、「質の高いコンテンツを作れば成功できる」と信じ込んでいるが、商売のセンスは皆無。真面目で根気はあるものの、絶望と焦りから酒に溺れる日々を送っている。彼のどん底からの再生と、常識外れの飛躍が物語の主軸となる。

マーベル

マズオの夢の中に突如現れた、自称「ビジネスの神」。プラチナブロンドの髪にサングラス、派手なジャケットという、神らしからぬチャラついた外見をしている。口調は軽薄で皮肉屋だが、その知識はビジネスの本質を鋭く突き、古今東西の成功法則を知り尽くしている。複雑な概念を分かりやすい比喩で説く天才的な教師であり、マズオをどん底から億万長者へと導く、ミステリアスなメンターである。

【本編：開始】

プロローグ：借金4000万、読者ゼロ。神は死んだと叫んだ夜

☆蛍光灯の下の絶望

深夜2時43分。

コンビニの無機質な蛍光灯が、世界のすべてを照らし出していた。床のタイルにこびりついた黒いシミ。誰も手に取らない雑誌の、わずかに反り返った表紙。そして、飲料ケースのガラスに映る、死んだ魚のような目をした男。俺、天野益生、35歳。通称マズオだ。

俺は東京大学の大学院を出ている。

人文社会科学研究科で、現代経営思想史を専攻した。かつてはそれが俺のアイデンティティであり、ささやかな誇りだった。しかし今となっては、値札を貼り間違えた高級ワインのようだ。誰もその価値を理解せず、ただ場違いな雰囲気を醸し出している。

13年。

俺が「情報発信」という名の、出口のない迷宮をさまよい続けた時間だ。その果てに何が残ったか。手元に残ったのは、コンビニの深夜時給で稼いだ小銭と、膨れ上がった絶望だけだった。

☆誰にも読まれない教養コンテンツ

俺は「教養としての経営思想」という有料メルマガを運営している。月額980円。毎週月曜日の朝に配信する。その内容は、我ながら最高に知的で高尚だと自負していた。

「ヘーゲル哲学における『承認』の概念から読み解く、現代ヒューマンリソースマネジメントの課題」

「フッサールの現象学を応用したブランド・アイデンティティ構築論」

「ドラッカーとニーチェ。二人の思想家が見た『超人』としての経営者像」

どうだ。痺れるだろう。

こんな深遠な知の世界に、月々わずか980円でアクセスできるのだ。コンテンツのクオリティさえ突き詰めれば、知的好奇心旺盛な読者が殺到するに違いない。俺は13年間、本気でそう信じていた。だからこそ、投資を惜しまなかった。

海外の学術データベースの年間利用料が50万円。経営思想史に関する古書を神保町で漁れば、平気で10万円が飛んでいく。英語、ドイツ語で発行される専門誌の購読料は年間30万円。俺のバイト代は、そのほとんどがインプットという名の祭壇に捧げられた。年間の研究費は、とっくに300万円を超えている。

その結果が、これだ。

13年間の累計有料読者、0人。

月々の売上、当然0円。

俺のメルマガ配信システムの管理画面には、常に「登録者数：1」と表示されている。その1は、配信テスト用に登録した俺自身のメールアドレスだった。

☆現実という名の督促状

バックヤードのパイプ椅子に腰掛け、冷え切ったおにぎりを口に放り込む。味などしない。ただ胃に何かを詰め込むだけの作業だ。ポケットのスマホが短く震えた。

一瞬、心臓が跳ねる。

もしや、読者からの問い合わせか。奇跡的に登録してくれた人が現れたのか。

震える指で画面をタップする。そこに表示されていたのは、赤い文字の警告だった。

「【重要】株式会社キャッシング・ナウより最終督促のお知らせ」

またか。

ため息と一緒におにぎりの欠片を飲み込んだ。

奨学金の返済は、もう2年近く滞納している。大学院進学のために借りた教育ローンも同様だ。研究費と生活費の赤字を埋めるために手を出した消費者金融とカード会社の借金は、雪だるま式に膨れ上がり、気づけば合計で4000万円を超えていた。

もう郵便受けを開けるのが怖い。

色とりどりの封筒は、すべてが俺の人生に対する請求書だ。家賃、ガス代、水道代、そして健康保険料。すべてが滞納の山。社会から「お前はここに存在する資格がない」と宣告されている気分になる。

☆SNSが映し出す残酷な格差

タイムラインをスクロールする指が憎い。

それでも見てしまう。同級生たちの、まばゆいばかりの人生報告を。

「同期の桜井が、〇〇大学病院の最年少外科部長に就任！俺も負けてられないな！」

「佐藤法律事務所、本日よりパートナーとして参画します。身が引き締まる思いです」

「妻の書いた小説『潮騒のメモリー』が芥川賞候補にノミネートされました！皆、応援してくれ！」

おめでとう。

心にもない言葉を画面に向かって呟く。彼らが高級レストランでワイングラスを傾けている写真。家族でハワイ旅行を楽しむ姿。新築のタワーマンションのリビングから見える夜景。

その一つ一つが、鋭いガラスの破片となって心に突き刺さる。

俺はなんだ？

俺はあいつらより勉強ができたはずだ。論文だって教授に褒められた。なのになぜ、俺だけがこんな薄暗いコンビニのバックヤードで、消費期限切れ間近のおにぎりを食っているんだ。

焦りが黒いタールのように腹の底に溜まっていく。

ストレスで酒の量が増えた。夜はほとんど眠れない。

☆神は死んだと叫んだ夜

バイトが終わり、俺は土砂降りの雨の中を傘もささずに歩いた。

冷たい雨粒が、熱くなった頭を冷やしてくれるような気がした。安アパートのドアを開けると、カビと埃の混じった淀んだ空気が俺を迎える。

部屋の隅に転がっている2リットルの焼酎ペットボトルを掴み、そのままラッパ飲みした。

アルコールの刺激が喉を焼き、食道を下っていく。まずい。本当にまずい。だが、このまずさだけが、生きているという実感を与えてくれる。

どれくらい飲んだだろうか。

意識が酩酊の沼に沈んでいく。寝不足とアルコールが、現実と幻の境界線を曖昧にしていく。俺は万年床と化した布団の上に倒れ込んだ。汚れた天井の木目が、巨大な蛇のようにうねっている。

もういい。

もう疲れた。

俺の13年間は、一体何だったんだ。

神がいるなら教えてくれ。俺の努力は、俺の信じた道は、全部間違いだったのか。

だが、神などいない。

ニーチェは言った。「神は死んだ」と。そうだ。死んだに決まっている。いるなら、なぜ俺をこんな地獄に放置する。

そう毒づいた、その瞬間だった。

ブツン、と安物の蛍光灯が不気味に瞬いた。

部屋の空気が奇妙に歪み、重力がなくなったかのように体がふわりと浮く感覚に襲われる。

「う…、飲み過ぎたか…」

幻覚だ。

ついに脳が壊れた。そう思った俺の目の前で、空間が、まるで水面のように波打った。そしてその中心から、陽炎のようにゆらめく人影が滲み出してきた。

それは徐々に輪郭を帯びていく。

テレビゲームから飛び出してきたような、やたらと派手な男だった。陽キャ丸出しのプラチナブロンドの髪。夜の室内だというのに、ミラーレンズのサングラス。体にフィットした、光沢のあるジャケット。神々しさというよりは、胡散臭さしか感じない。

「よぉ」

その声は、鼓膜を震わせる音波ではなかった。

脳内に直接、テキストデータが送り込まれてくるような、奇妙な感覚だった。

「天野益生。コードネーム、マズオ。だな？」

「…誰だ、あんたは…」

絞り出した声は、ひどくかすれていた。

「俺？俺はマーベル。このあたり一帯のビジネスを管轄してる、しがない神様さ」

神様だと？

冗談じゃない。これは悪質な夢だ。それか、俺はもう…。

「まあ、俺が誰かなんてどうでもいい」

マーベルと名乗る存在は、俺のゴミ溜めのような部屋を値踏みするように見回し、大げさに肩をすくめた。

「それより、マズオ。お前のビジネス、読ませてもらったぜ。13年分、全部な」

彼は指をパチンと鳴らした。

すると、俺の目の前の空間に、半透明のスクリーンが何枚も浮かび上がった。そこには、俺が血と汗と涙を滲ませながら書き綴ってきたメルマガのタイトルが、墓標のようにずらりと並んでいた。

マーベルは心底うんざりした、という表情で首を振る。

「いや、きつかった。マジで拷問レベルだ。おかげで確信したよ」

彼はサングラスの奥から、俺の魂を見透かすような視線を向けた。そして、唇の端を吊り上げて、残酷なほど楽しそうに、こう宣告した。

「我が名はマーベル。お前のビジネス、面白くなさすぎだ！」

その言葉は、泥酔した俺の脳髄を貫き、13年間のすべてを否定する、絶対的な響きを持っていた。

第1章：世界を「見える化」する魔法の地図～ビジネスモデル・キャンバスの衝撃～

第1話：お前のビジネスは「空っぽ」だ！

☆マーベル、降臨の儀式はコンビニのイートインで

「面白くなさすぎだ！」

その宣告は、まるで物理的な衝撃となって俺の体を揺さぶった。

泥酔していたはずの意識が、冷水を浴びせられたように急速に覚醒していく。目の前の、神を名乗るチャラついた男、マーベルの姿が、やけにはっきりと網膜に焼き付いていた。

「お、面白くない…だと…？」

俺はかすれた声で反論を試みる。

「俺のメルマガは、現代人が知るべき最高の教養だ。難解な経営思想を、俺ほど深く、そして正確に解説できる人間はいない。面白くないわけが…」

「あるんだよなぁ、それが」

マーベルは俺の言葉をあっさりと遮った。

「お前の文章は、乾燥しきったミミズの死骸みたいだ。知識の羅列。自己満足のひけらかし。そこには読者を楽しませよう、役に立とうっていうエンターテイメント精神が1ミリも感じられない。お前、それ、誰のために書いてるんだ？」

誰のために？

決まっている。知を求める、すべての人のためにだ。

そう答えようとしたが、言葉にならなかった。本当にそうだろうか。俺は本当に、見ず知らずの誰かのために、この13年間を捧げてきたのだろうか。それとも、ただ「東大大学院卒の俺はこんなに博識なんだ」と証明するためだけに、虚空に向かって叫び続けていただけではないのか。

「…まあ、そんな難しい話は後だ」

マーベルはパン、と手を叩いた。

「腹が減った。こんなゴミ溜めで話してても埒が明かない。場所を変えるぞ。ついてこい」

そう言うと、マーベルの体は再び光の粒子となって霧散し、開いていた窓からすうっと抜け出していった。

俺は呆然と、数秒間その場に立ち尽くした。

夢か。やはり夢なのだろう。

しかし、部屋に残る奇妙な浮遊感と、脳髄に刻まれた「面白くない」という言葉の痛みは、あまりにも生々しかった。

俺は吸い寄せられるように、ふらつきながらアパートを飛び出し、先ほどまでバイトをしていたコンビニへと向かった。

深夜3時のコンビニ。

イートインスペースの隅の席に、マーベルは当たり前のように座っていた。手にはアメリカンドッグ。ケチャップとマスタードが芸術的な曲線を描いている。

「遅かったな、マズオ」

彼は俺を一瞥し、アメリカンドッグを一口かじった。

「とりあえず、お前も何か食え。話はそれからだ。金なら、お前が出せ」

神様のくせに、財布は持っていないらしい。

俺は仕方なく、一番安いカップ麺とおにぎりを買い、マーベルの向かいの席に座った。

☆ビジネスとは何か？ 13年目にして根源的な問い

湯気の立つカップ麺をすすりながら、俺はマーベルを睨みつけた。

「あんた、本当に神様なのか？何が目的なんだ？」

「目的ねぇ…」

マーベルは最後の一口を飲み込み、串をテーブルに置いた。

「強いて言うなら、暇つぶしかな。お前みたいな『惜しい』ヤツを眺めてるのは、結構楽しいんだよ。知識はある。根性もある。だが、致命的に何かが欠けている。まるで、エンジンだけ超高性能で、タイヤもハンドルも付いていない車だ。アクセルを踏めば踏むほど、その場で空回りして煙を吹く」

ぐさりと、また胸が痛んだ。

まさに俺の13年間そのものだったからだ。

「マズオ、お前に一つ、根源的な質問をしよう」

マーベルはサングラスの奥から、真剣な眼差しを俺に向けた。

「お前にとって『ビジネス』とは、なんだ？」

ビジネスとは何か。

大学院で散々論じてきたテーマだ。

俺は待ってましたとばかりに口を開いた。

「ビジネスとは、企業が顧客に対して価値を提供し、その対価として収益を獲得する一連の活動のことだ。ピーター・ドラッカーは『企業の目的は顧客の創造である』と…」

「ストップ、ストップ」

マーベルは手のひらをこちらに向けた。

「そういう、教科書に書いてあるような退屈な定義はいい。お前の言葉で言ってみろ。お前は『ビジネス』をどう捉えている？」

俺の言葉で。

考えたこともなかった。俺にとっての知識とは、偉大な先人たちの言葉を引用し、体系的に整理することだったからだ。

「…価値あるコンテンツを作り、それを売ること…か？」

我ながら、ひどく凡庸な答えだった。

マーベルは大きく、そしてわざとらしくため息をついた。

「だと思ったよ。だからお前は13年間も空回りしてるんだ。いいか、マズオ。ビジネスってのはな、もっと全体的なもんなんだよ。コンテンツを作るなんてのは、その中のほんの一部分に過ぎない」

彼はそう言うと、ポケットから魔法のように1本のペンを取り出した。そして、テーブルに置かれていたコンビニのチラシの裏を、俺の方に向けた。

「お前のその、ガチガチに凝り固まったビジネス観を、一度ぶっ壊してやる。そして、新しい『地図』をお前の頭にインストールしてやるよ」

☆神が描いた9つのマス目

マーベルのペンが、チラシの裏を滑るように走った。

彼はまず、大きな長方形を描いた。そして、その中に縦横に線を引いていく。あっという間に、大小さまざまな9つのマス目が出来上がった。それはまるで、いびつな田んの字のようだった。

「これが、今日からお前の『聖書』だ」

マーベルはペン先で、その図をトントンと叩いた。

「その名も、『ビジネスモデル・キャンバス』」

引用元

ビジネスモデル・キャンバス。

初めて聞く言葉だった。

「ビジネスモデルを、一枚の絵に描き出すためのツールだ。これを使えば、どんな複雑なビジネスも、9つの『構成要素（ブロック）』に分解して、その構造を丸裸にできる」

マーベルは、それぞれのマス目に、流れるような文字を書き込んでいく。

「まず、右端の2つ。ここがビジネスの出発点だ。『顧客セグメント』と『価値提案』」

彼はそう言うと、一番右のマスに「CS（Customer Segments）」と書き、その隣に「VP（Value Proposition）」と書き込んだ。

「誰に（CS）、何を売るのか（VP）。これが基本中の基本だ」

次に、その2つのブロックの間に矢印を引くように、3つのブロックを配置した。

「どうやってその価値を届けるか。それが『チャネル（CH）』。どうやって顧客と関係を築くか。それが『顧客との関係（CR）』。そして、どうやって金をもらうか。それが『収益の流れ（R$）』だ」

中央のブロックには「CH（Channels）」と「CR（Customer Relationships）」が、そしてキャンバスの一番下の右側には「R$（Revenue Streams）」という文字が書き込まれた。

「ここまでが、ビジネスの『表舞台』。顧客にどう価値を届け、どう金を稼ぐかという部分だ」

マーベルは図の右半分を手のひらで覆った。

「だが、ビジネスには『舞台裏』がある。こっちが、お前みたいなコンテンツ至上主義者が軽視しがちな部分だ」

彼はペンを左半分に移した。

「価値提案を生み出すために、どんな『主要活動（KA）』が必要か。どんな『リソース（KR）』が必要か。そして、誰と『パートナー（KP）』を組むのか」

左上のマスに「KP（Key Partners）」、その下に「KA（Key Activities）」と「KR（Key Resources）」が書き込まれる。

「そして最後。これらの活動すべてに、いくらかかるのか。それが『コスト構造（C）』だ」

キャンバスの一番下の左側に、「C（Cost Structure）」という最後のピースがはめ込まれた。

9つのブロックがすべて埋まった。

それは、一つの完璧なシステムの設計図のように見えた。

「どうだ、マズオ」

マーベルはペンを置き、腕を組んだ。

「これが、この世に存在するすべてのビジネスを貫く『型』だ。アップルも、トヨタも、俺たちが今いるこのコンビニも、そしてお前のそのクソつまらないメルマガも、すべてこの9つのブロックで説明できる。さあ、お前の13年間を、このキャンバスの上で解剖してみようじゃないか」

彼の目は、残酷な手術を始める外科医のように、爛々と輝いていた。

第2話：9つのブロックで丸裸！悲惨なる我がメルマガの構造分析

☆顧客不在のビジネスモデル

「さあ、始めようか。お前のビジネスの公開処刑を」

マーベルはにやりと笑い、俺にペンを差し出した。

「まずは『顧客セグメント（CS）』からだ。マズオ、お前はいったい、誰のためにメルマガを書いてるんだ？どんな客に届けたいんだ？」

誰に。

それはもちろん、決まっている。

「知的好奇心が旺盛で、現代社会を深く理解したいと願う、すべてのビジネスパーソンだ」

俺は自信満々に答えた。

マーベルは呆れたように首を振った。

「それじゃダメだ。それは『顧客』じゃない。『願望』だ。もっと具体的に言え。年齢は？職業は？年収は？どんなことに悩んでいて、どんな雑誌を読んでる？例えば、そこの棚にあるプレジデントを読む層か？それとも、向こうのサブカル雑誌を読む層か？」

具体的に。

俺は言葉に詰まった。考えたこともなかった。俺の頭の中にいたのは、「理想の読者」という、顔のないぼんやりとした影だけだった。その影はいつも俺の難解な文章を深く理解し、感嘆の声を漏らしてくれる。だが、その影が実際にどんな生活を送っているのか、俺は何も知らなかった。

「……わからない」

絞り出した声は、自分でも驚くほど弱々しかった。

「だろうな」

マーベルはチラシの裏の「顧客セグメント」の欄に、ペンで大きくバツ印をつけた。

「お前のビジネスには、そもそも『顧客』が存在しない。いるのはお前の頭の中だけだ。はい、次。『価値提案（VP）』。お前がその顔のない顧客に提供している『価値』とは、なんだ？」

これなら答えられる。

「最高の教養だ。古今東西の経営思想を体系的に学び、ビジネスを一段高い視座から見渡せるようになる、唯一無二のコンテンツだ」

「ほう。唯一無二、ね」

マーベルは鼻で笑った。

「で、その唯一無二の価値は、誰かに届いてるのか？」

「……それは、これからだ」

「13年間『これから』で、これからも『これから』か。いいか、マズオ。価値ってのはな、自分が『ある』と思ってるだけじゃダメなんだ。顧客が『欲しい』と思って、実際に金や時間を払ってくれて、初めて『価値』になる。お前のそれは、まだ価値になる前の『タネ』にすらなってない。ただの自己満足の塊だ」

マーベルは「価値提案」の欄にも、無慈悲にバツ印を書き込んだ。

☆空欄だらけのキャンバス

「次、行くぞ。『チャネル（CH）』。お前は、どうやってその『価値のタネ』を顧客に届けてる？」

「メルマガ配信スタンドと、ブログ、それからX（旧Twitter）だ」

これは事実だ。俺は毎日、ブログを更新し、Xでメルマガの宣伝をしていた。

「で、そのチャネルから、申し込みはあったのか？」

「……ない」

「つまり、そのチャネルは機能していないってことだ。顧客にたどり着くための『道』が、お前の家の前で行き止まりになってる。誰も通らない道に、意味はない」

バツ印が3つになった。

俺の額に、じわりと汗が滲む。

「『顧客との関係（CR）』は？お前は読者とどうやってコミュニケーションを取ってる？コメント欄での交流は？読者限定のオンラインコミュニティは？」

「……ない。俺は一方的に配信するだけだ」

「だよな。だって、相手がいないんだからな」

4つ目のバツ。

「じゃあ、いよいよ核心だ。『収益の流れ（R$）』。お前はどうやって金を稼ぐんだ？」

「月額980円のメルマガ購読料だ」

「で、その収益は？」

「……0円だ」

「だよな！」

マーベルは楽しそうに5つ目のバツを書きなぐった。

チラシの裏に描かれたビジネスモデル・キャンバスの右半分、「顧客」と「収益」に関わる部分が、すべてバツ印で埋め尽くされた。それはまるで、俺の13年間に対する通信簿のようだった。オール1、いや、評価以前の問題。空欄だらけの答案用紙だ。

☆肥大化するコストという怪物

「どうだ、マズオ。お前のビジネスの右半分は、見ての通り『空っぽ』だ。存在しないも同然。じゃあ、左半分はどうかな？」

マーベルは悪魔的な笑みを浮かべ、ペンをキャンバスの左側に移した。

「まずは『主要活動（KA）』。お前がメルマガを作るために、日々やっていることはなんだ？」

「研究と、執筆だ」

「具体的には？」

「参考文献の読み込み、論文の渉猟、情報の整理、そして週に1本の原稿執筆だ。1本あたり、大体20時間くらいはかかる」

これは俺が唯一、胸を張れる部分だった。その活動の質と量だけは、誰にも負けない自信があった。

「なるほど。それは立派な活動だ」

マーベルは珍しく頷き、「主要活動」の欄に「研究・執筆」と書き込んだ。

初めてバツ印以外のものが書き込まれた。

「じゃあ、その活動に必要な『リソース（KR）』は？」

「俺自身の知識と時間。それから、PC、専門書、データベースの利用権…」

マーベルはそれを「知識・時間・PC・書籍・DB」と要約して書き込んだ。

「『パートナー（KP）』はいるか？誰かと協力してやってるか？」

「いない。全部一人だ」

「だろうな。パートナー欄は空欄、と」

そして、マーベルは最後のブロックを指さした。

「最後だ。『コスト構造（C$）』。これらの活動全体で、お前にかかっているコストはなんだ？」

俺は震える声で答えた。

「書籍代やデータベース利用料などの研究費が、年間で約300万円。サーバー代が年間2万円。メルマガ配信スタンドの利用料が年間5万円。それに…」

俺は言葉を続けた。

「それに、俺の13年という時間と、4000万円の借金だ」

マーベルは黙って、ペンを走らせた。

「コスト構造」の欄が、びっしりとした文字で埋まっていく。

「研究費（年300万）、サーバー・システム費（年7万）、人件費（マズオの13年）、負債（4000万）」

ついに、ビジネスモデル・キャンバスのすべてのブロックが埋まった。

俺は息をのんで、その全体像を眺めた。

それは、あまりにもおぞましい光景だった。

右半分は、バツ印だらけの廃墟。収益を生み出すエンジンは、完全に沈黙している。

それに対して、左半分は、コストという名の怪物が、とぐろを巻いて鎮座している。特に「コスト構造」のブロックは、他の8つのブロックすべてを飲み込んでしまいそうなほどの、圧倒的な存在感を放っていた。

収入はゼロ。

なのに、毎年300万円以上の現金が消え、人生という貴重な時間が溶けていく。

これが、俺のビジネスの正体だった。

それはビジネスなどではない。ただの、金と時間を燃やし続ける、巨大な焼却炉だった。

☆幻想の崩壊

「どうだ、マズオ」

マーベルは完成したキャンバスを、俺の目の前に突きつけた。

「これが、お前が13年間かけて作り上げた『傑作』の全体像だ。美しいだろう？完璧なまでに、破綻している」

返す言葉もなかった。

今まで俺が目を背けてきた現実が、たった一枚の紙の上に、残酷なまでに「見える化」されていた。

「コンテンツの質さえ高ければ」

俺が信じてきた、たった一つの真理。

それは、このキャンバスの上では、巨大なコスト構造を支えるための一つの要素でしかなかった。いくら質の高いコンテンツ（主要活動）を作っても、それを欲しがる顧客（CS）を見つけ、適切な道（CH）で届け、喜ばれる関係（CR）を築き、納得のいく価格（R$）で売る仕組みがなければ、1円にもならない。

俺は、ビジネスという複雑な生態系の、ほんの一部分だけを見て、それが世界のすべてだと思い込んでいたのだ。

「わかったか、マズオ」

マーベルは俺の肩を叩いた。

「お前がまずやるべきことは、これ以上面白い記事を書くことじゃない。この、廃墟と化したキャンバスの右半分を、どうやって再建するかだ。幸い、俺という最高の建築家がついてる。安心しろ」

俺は、チラシの裏に描かれた、絶望的なビジネスモデルの図を、ただ黙って見つめていた。

13年間の幻想が、音を立てて崩れ落ちていく。そしてその瓦礫の中から、ほんのかすかな光が差し込んできたような気がした。

第3話：なぜ稼げないのか？答えはすべて「絵」の中にあった

☆全体像という視点

カップ麺のスープはすっかり冷めきっていた。

俺はまだ、目の前のチラシに描かれた図から目を離せずにいた。9つのブロックで構成された、俺自身のビジネスの残骸。それは、交通事故の現場写真のように、目を背けたいのに目が離せない、強烈なリアリティを放っていた。

「どうして…どうしてこうなったんだ…」

俺は呟いた。13年間、真剣に取り組んできた。遊んでいたわけじゃない。誰よりも学び、誰よりも考え、誰よりも文字を書いてきた。その結果が、なぜこの「収入ゼロ、コスト無限大」という地獄絵図なんだ。

「簡単さ」

マーベルはこともなげに言った。

「お前が、全体を見ていなかったからだよ。森を見ずに、一本の木だけを必死に育てていた。しかも、その木が何の木なのか、誰がその実を欲しがるのかも考えずに、ただひたすら肥料と水を与え続けていた」

彼はペンを取り、俺のキャンバスの「主要活動（KA）」の欄を指した。「研究・執筆」と書かれた部分だ。

「お前にとってのビジネスは、ここだけだった。そうだろ？」

その通りだった。

俺は、いかに深遠な思索をするか、いかに格調高い文章を書くか、ということだけに全神経を集中させていた。それ以外の8つのブロックは、俺にとって「些末なこと」だった。良いものを作れば、後のことは誰かがどうにかしてくれる。そう、心のどこかで甘えていたのかもしれない。

「いいか、マズオ。ビジネスモデル・キャンバスのすごいところはな、この9つのブロックがすべて、互いに影響し合っているということを視覚的に理解させるところにあるんだ」

☆システムの呪縛

マーベルは、キャンバスの上に、ブロック間をつなぐように何本もの矢印を描き加え始めた。

「例えば、『顧客セグメント（CS）』を変えればどうなる？」

彼は「顧客セグメント」のバツ印をぐりぐりと塗りつぶした。

「お前の言う『知的好奇心旺盛なビジネスパーソン』なんていう曖昧なものではなく、例えば『起業したばかりで、経営の指針に悩む30代のITエンジニア』にターゲットを絞ったら？」

途端に、他のブロックが連鎖反応を起こすのが、頭の中で見えた。

「『価値提案（VP）』も変わる。『最高の教養』なんていうフワッとしたものじゃなく、『明日から使える、先人の知恵トップ10』みたいな、もっと具体的で実践的なものになるべきだ」

「『チャネル（CH）』も、ただブログを更新するだけじゃなく、ITエンジニアが集まるオンラインサロンや勉強会にアプローチする必要が出てくる」

「『顧客との関係（CR）』だって、一方的な配信じゃなく、Q&Aセッションや個別の相談会を開くことで、より強固なものになるかもしれない」

マーベルがブロックを指さすたびに、俺の頭の中に新しいアイデアが次々と浮かび上がってくる。それは、今まで俺が「ビジネスの本質ではない」と切り捨ててきた、泥臭くて、人間臭い活動ばかりだった。

「逆もまた然りだ」

マーベルは今度は「コスト構造（C$）」の欄を指した。

「お前のコストは、年間300万円を超える研究費が元凶だ。もし、このコストを劇的に下げることを考えたらどうなる？例えば、最新の学術論文を追うのをやめて、もう著作権が切れた古典的名著の解説に特化するとか」

「そうすれば…」

俺は息をのんだ。

「『リソース（KR）』として必要なのは、高価なデータベースではなく、図書館や無料の電子書籍になる。『主要活動（KA）』も、最新理論の研究ではなく、古典の分かりやすい要約と現代的解釈に変わる」

「そうだ。そして、『価値提案（VP）』は『時代を超えた普遍の原則を学ぶ』という、より普遍的なものになるかもしれない。そうなれば、『顧客セグメント（CS）』は、ITエンジニアだけでなく、もっと幅広い層に届く可能性がある」

すごい。

パズルのピースが、カチリ、カチリとはまっていくような感覚。

9つのブロックは、独立した存在ではなかった。それは互いに鎖で繋がれた、一つの巨大なシステムだったのだ。一つのブロックを動かせば、他のすべてのブロックがギシギシと音を立てて動き出す。俺は13年間、そのシステム全体の存在に気づかず、たった一つの歯車を磨くことだけに人生を費やしていた。

☆ビジネスごっこの終わり

「コンテンツの質さえ高ければ」

俺の信じたその言葉は、ある意味では正しかったのかもしれない。だが、それはこのシステム全体が健全に機能しているという、大前提の上での話だった。顧客もいない、収益モデルもない状態で、いくらコンテンツという歯車をピカピカに磨き上げても、システム全体が動き出すはずがなかったのだ。

「わかったか、マズオ」

マーベルは、矢印だらけになったキャンバスを眺めて満足げに言った。

「お前がやっていたのは、ビジネスじゃない。『ビジネスごっこ』だ。自分の好きな研究をして、好きな文章を書いて、いつか誰かが認めてくれるだろうと夢想する。それは、ただの趣味だ。しかも、年間300万円以上かかる、極めて金のかかる趣味だ」

趣味。

その言葉が、俺のプライドの最後の砦を粉々に打ち砕いた。

俺は唇を噛みしめた。悔しくて、情けなくて、涙が出そうだった。だが、反論の言葉は一つも出てこない。この一枚の「絵」が、すべてを物語っていたからだ。

「だが、悲観することはない」

マーベルの声が、少しだけ優しくなった。

「お前は今日、自分の『現在地』を正確に知った。これはとてつもなく大きな一歩だ。ほとんどの人間は、自分がどこにいるのかも分からずに、同じ場所をぐるぐる回り続けて一生を終える。お前は、この魔法の地図を手に入れたんだからな」

彼は立ち上がると、俺の肩に手を置いた。

「さて、マズオ。ここからが本番だ。この絶望的なキャンバスを、どうやって黄金を生み出す設計図に変えていくか。そのための『型』、つまり、成功者たちが使ってきた『ビジネスモデル・パターン』というものを、これからお前に授けよう」

俺は顔を上げた。

目の前の神様は、相変わらずチャラチャラしていて胡散臭かった。

だが、そのサングラスの奥で光る瞳には、俺の人生を一変させるほどの、強烈な知性の輝きが宿っているように見えた。

俺は、冷え切ったスープを飲み干し、固く決意した。

もう「ビジネスごっこ」は終わりだ。

今日この瞬間から、俺は本当の「ビジネス」を始めるのだ、と。

第2章：億万長者たちのビジネスの「型」を知る