「正確に、丁寧に、言われた通りにやる」

これまで“社会人の美徳”とされてきたこの姿勢。

でも今、その美徳こそがAIの得意分野になってしまった。

たとえば──

もはや「真面目さ」はAIで十分なのだ。

むしろ“真面目な人”ほど、AIに似た存在になっていってしまう。

ある企業で、几帳面で誠実な若手社員がいた。

指示には必ず従い、資料のミスもゼロ。

「この子は絶対に将来の幹部候補」とまで言われていた。

ところがある日、その部署にAIによる業務自動化ツールが導入された。

彼の得意だった「正確な資料作成」「報告フォーマットの整備」は、AIが3秒で終えるようになった。

彼は焦った。

でも「自分の仕事がAIにできるなんて思わなかった」とだけつぶやき、結局、会社を去っていった。

一方、別の社員は違った。

その人は「脱線のプロ」。

頼んでもないスライドに謎の落書きを入れ、会議中にダジャレを言い、昼休みに意味不明な発明品を作っていた。

でも、ある日突然その人の発想が新規事業の火種になった。

「何が起きるか分からないから、面白い」

その予測不可能さが、AIには出せない“人間力”だった。