はじめに

「先生、添削まだですか？」

夜9時。LINEの通知が鳴る。

今日も採点が終わらない。明日の教材準備もある。保護者からの相談メールにも返信しなきゃ。

──私、何のためにこの仕事してるんだっけ。

生徒が嫌いなわけじゃない。手を抜いてるわけでもない。むしろ、丁寧にやりすぎてる。

経験を重ねるほど、「もっと良い指導を」と思う。 その真面目さが、自分の首を絞めている。

私は英語講師歴25年。教えてきた生徒は2,700人を超えました。

でも正直に言います。 3年前まで、私も毎晩10時過ぎまで作業していました。

「これが当たり前」だと思っていた。 「努力するしかない」と信じていた。

違いました。

ある日、仕組みを変えたら── 120分かかっていた添削が、30分で終わるようになった。

しかも。

生徒の理解度が上がった
テスト合格率が上がった
提出率が上がった
何より、生徒と話す時間が増えた

「時短＝手抜き」だと思っていました。でも逆でした。

疲れた先生に、良い指導はできない。 余裕のある先生だから、生徒の本当の課題が見える。

この記事では、私が実際に使っている方法をすべて公開します。

AIを使った添削の具体的なステップ
そのまま使えるプロンプト（コピペOK）
失敗から学んだ「やってはいけないこと」

対象は、今も現場で生徒と向き合っている先生です。

「AIなんて、教育の本質じゃない」

もしそう思っていたら、5分だけ読んでください。

その考え、変わります。

そして何より── あなた自身が、楽になります。

第1章なぜ、ベテラン講師ほど「仕組みの力」が必要なのか

「手抜き」じゃない。本当に大事な時間を守るということ。

採点に3時間。教材準備に2時間。添削に2時間。

それは、手を抜いているからじゃない。 真面目だからこそ、そうなる。

でも、立ち止まって考えてみてください。

その時間のうち、 「生徒のためになっている時間」は、何割ですか？

私は以前、ライティング添削に1枚3分かけていました。

間違いを探す。どう説明するか考える。手書きで修正箇所を書く。

「丁寧にやってる」と思っていた。

でも気づいたんです。 そのうち2分は、同じ作業の繰り返しだった。

「この表現は使えない」「時制が違う」「冠詞が抜けてる」

同じ指摘を、別の生徒にも。また別の生徒にも。

ベテランだからこそ、この「繰り返し」に気づけるはず。 そして、それを仕組み化できるはず。

手抜きじゃない。 本当に大事な時間を守るための、戦略です。

120分が30分に。私の1日はこう変わった。

以前の私の1日を見てください。

朝メール返信、スケジュール確認（15分）

レッスン前 教材確認、指導ポイント整理（30分）

レッスン中 個別指導4時間（合間に質問メール対応15分）

レッスン後 採点・添削（120分）

その他 翌週の教材準備、保護者対応（30分）

合計約5時間40分。

このうち「採点・添削」の120分が、本当に重かった。

それが、30分になった。

何を変えたのか。

採点基準をテンプレート化した
よくある間違いパターンを事前に用意した
生徒へのフィードバックを型にした

結果、1枚3分かかっていた添削が、30秒で終わるようになりました。

「30秒で大丈夫？」

大丈夫です。 必要な情報は、全部入っているから。

そして、浮いた時間で何をしたか。

生徒との面談。

「最近どう？モチベーション落ちてない？」

「次の試験、何が不安？」

その会話の中で、本当の課題が見えてきました。

結果、テスト合格率も、提出率も、上がった。

時短したから、質が上がった。 逆説的だけど、これが現実です。

疲れた先生が、生徒に与えてしまうもの

これは脳科学でも証明されていること。

講師が疲れていると、生徒は察知します。

言葉では「頑張ってね」と言っていても、声のトーン、目の輝き、反応の速さ── 全部、違う。

生徒は無意識にそれを感じ取って、 やる気を失っていく。

そしてもうひとつ。

疲れていると、判断力が鈍る。

「この生徒には、この説明が効くはず」そういう柔軟な対応ができなくなる。

結果、同じ説明を繰り返す。生徒が理解しない。さらに疲れる。

その悪循環が、多くのベテラン講師を蝕んでいます。

だからこそ、言いたい。

「自分が楽になること」は、生徒のためになる。

教育放棄じゃない。 最高の教育戦略です。