「また今日も、何もできなかった…」

夜中の0時17分。子どもを寝かしつけ、リビングの隅で膝を抱えながら、スマホの検索窓を眺めていた。
「副業始め方主婦」
「時短ワーママ稼ぐ」
「自分に何ができるか分からない」

指が震えながら、何度も同じようなキーワードを打っては消す。誰にも言えない焦りと、漠然とした不安。そんな自分が情けなくて、画面を閉じたくなる。

2019年11月、私は東京・品川のコワーキングスペースで、ある30代女性クライアントと向き合っていました。彼女は育休明けで時短勤務、副業に興味があるものの「何から手をつければ…」と途方に暮れていた。私自身もフリーランス初期、深夜2時にベッドでノートPCを開き「明日の請求書、間に合うのか」と冷や汗をかいた経験があります。

あのとき、もしChatGPTがあったら──。
そう思うと、今の時代に副業を始める人は、ある意味"武器"を手にしているのかもしれません。

でも、武器の使い方を知らなければ、宝の持ち腐れ。いや、むしろ「AIに聞いてみたけど、結局よく分からなかった」という新しい挫折を生むだけです。

この記事では、「30代女性、時短勤務、副業に興味あり」というペルソナに焦点を当て、ChatGPTを使って"深夜に思わず検索してしまうような悩み"を30個リストアップし、そこから見えた「本当のインサイト」を徹底的に深掘りします。

私が実際に5人のワーママにヒアリングし、彼女たちの検索履歴・SNSの保存投稿・未送信メモを覗かせてもらった結果、見えてきたのは「表面的なハウツーでは絶対に届かない、感情の地層」でした。

読み終わる頃には、あなたの中で「私には無理」が「これならできそう」に変わる。その小さな一歩が、月3万、月5万の入口になる。そんな記事を目指しました。

ぜひ、深夜のリビングで、誰にも邪魔されない時間に、ゆっくり読んでください。

第1章：なぜ「30代女性、時短勤務、副業に興味あり」なのか

ペルソナ設定の"罠"を知っていますか

「ペルソナを設定しましょう」
マーケティングの教科書には必ず出てくるフレーズです。年齢、性別、職業、年収、家族構成…。

でも、正直に言います。こういう"属性の羅列"だけでは、まったく意味がない。

2021年6月、私はある化粧品メーカーのオウンドメディア制作に関わりました。クライアントが用意したペルソナシートには「32歳、既婚、子ども1人、世帯年収600万、趣味はヨガ」と書かれていた。完璧に見えるデータ。

でも、そのペルソナに向けて書いた記事は、まったく読まれませんでした。直帰率87%、平均滞在時間18秒。数字は残酷です。

なぜか。
答えは単純で、「感情が抜け落ちていた」から。

32歳の彼女が、夜中にスマホを開くとき、何を考えているのか。
子どもが寝た後、リビングで一人になったとき、どんな言葉を検索窓に打ち込むのか。
Instagramでどんな投稿を保存し、Twitterでどんなツイートに「いいね」を押すのか。

そこまで掘らないと、ペルソナは"人"にならない。ただの紙切れです。

「30代女性、時短勤務、副業に興味あり」が抱える"見えない重圧"

このペルソナを選んだ理由は、私自身がこの層と長く仕事をしてきたからです。

2018年から2023年にかけて、私は延べ200人以上のワーキングマザー向けにキャリアカウンセリングを行ってきました。そのうち約60%が「副業に興味はあるけど、何をすればいいか分からない」と答えた。

彼女たちの共通点は、次の3つでした。

時間がない（物理的制約）
- 朝7時起床、8時半に子どもを保育園に預け、9時出社。16時退社、17時お迎え、18時夕食準備、19時入浴、20時寝かしつけ。自分の時間は21時以降のみ。
お金がない（経済的不安）
- 時短勤務で給与は2〜3割減。夫の収入だけでは教育費・老後資金が不安。でも「今すぐ転職」は現実的でない。
自信がない（心理的ブロック）
- 「私には特別なスキルがない」「ブランクがある」「失敗したらどうしよう」──こうした声を何度も聞きました。

この3つの「ない」が、彼女たちを深夜の検索に駆り立てる。でも、検索しても出てくるのは「月100万稼ぐ方法」とか「在宅ワークで自由な生活」とか、キラキラした成功事例ばかり。

「私には関係ない世界だ」
そう思って、また画面を閉じる。

ChatGPTが変えた"インサイト発掘"の常識

ここで、ChatGPTの登場です。

従来、ペルソナの深掘りには「インタビュー→テキストマイニング→クラスター分析」といった手法が使われてきました。でも、これには時間もコストもかかる。中小企業や個人事業主には、正直ハードルが高い。

ところが、ChatGPTを使えば、**「このペルソナが深夜に思わず検索してしまうような悩みを、感情的な言葉で30個リストアップして」**と投げかけるだけで、驚くほど具体的なインサイトが返ってくる。

私が実際に試したプロンプトは、こうです。

あなたはマーケティングリサーチャーです。以下のペルソナについて、彼女が深夜、誰にも言えずにスマホで検索してしまうような「悩み」「不安」「願望」を、感情的な言葉で30個リストアップしてください。

【ペルソナ】
- 33歳女性
- 既婚、子ども2人(5歳・3歳)
- 時短勤務(9:00-16:00)、事務職
- 世帯年収550万、夫は会社員
- 副業に興味があるが、何から始めればいいか分からない
- SNSはInstagram・Twitter・LINEを利用
- 趣味は料理・読書(時間がなくてできていない)

※検索ワードではなく、「心の声」として出力してください。

結果は──圧巻でした。

「このままじゃ、子どもの教育費が足りない気がする」
「夫に『俺の稼ぎじゃ不満なのか』と思われたくない」
「『ママなのに副業?』って義母に言われそうで怖い」
「私、何もできない人間なんじゃないか」

こういう"生々しい感情"が、30個も出てくる。しかも、わずか数秒で。

もちろん、AIが出力したものをそのまま使うわけではありません。ここからが本番です。

第2章：5人のワーママに聞いた"深夜の検索履歴"の真実

ヒアリングで見えた「3つの感情フェーズ」

ChatGPTが出力したリストをもとに、私は実際に5人の30代ワーママにヒアリングを実施しました。期間は2024年9月〜10月の約6週間。場所はZoomと都内カフェ。

協力してくれたのは、以下の5人です(仮名)。

名前年齢子ども職種副業経験A子さん34歳2人営業事務なしB美さん32歳1人経理クラウドワークス登録のみC恵さん36歳2人総務ブログ開設(更新停止中)D香さん31歳1人人事ココナラ出品(売上0)E代さん35歳3人一般事務メルカリ販売のみ

ヒアリングでは、「直近1ヶ月の検索履歴」「Instagramの保存投稿」「Twitterのいいね履歴」を見せてもらいました(事前同意取得済み)。

そこで分かったのは、彼女たちの悩みが**「3つの感情フェーズ」**に分かれていること。

フェーズ1:「漠然とした不安」(副業を考え始めた初期)

「このままでいいのかな」
「老後が心配」
「もっと自分らしく生きたい」

フェーズ2:「具体的な焦り」(情報収集を始めたが混乱)

「何から始めればいいの?」
「スキルがない私にできることある?」
「時間がないのに副業なんて無理じゃない?」

フェーズ3:「深い挫折感」(一歩踏み出したが続かなかった)

「やっぱり私には向いてなかった」
「周りはキラキラしてるのに、私だけ…」
「もう諦めたほうがいいのかな」

このフェーズを行ったり来たりしている人がほとんどでした。A子さんは「もう3回目のフェーズ3です(苦笑)」と話していた。

検索履歴に現れた"感情の温度差"

実際の検索履歴を見せてもらうと、面白いことが分かります。

A子さん(34歳)の深夜検索ワード(2024年9月)

23:47「副業主婦おすすめ」
00:12「在宅ワーク未経験」
00:34「ハンドメイド売れない」
01:02「私何もできない」
01:15「もう寝なきゃ」

最初は具体的なハウツーを探しているのに、時間が経つにつれて検索ワードが感情的になっていく。最後は「もう寝なきゃ」という諦めの言葉。

B美さん(32歳)の検索履歴(2024年10月)

22:33「クラウドワークス初心者」
23:01「ライティング単価」
23:28「文字単価0.5円安い」
23:52「副業やめたい」

こちらは、具体的に行動を起こしたものの、現実の厳しさに直面して挫折していく様子が見える。

C恵さん(36歳)の検索履歴(2024年9月)

21:45「ブログアクセス増やし方」
22:18「SEO 初心者」
22:47「ブログ 3ヶ月 PV0」
23:15「ブログ挫折」
23:42「私には才能がない」

努力しても結果が出ない苦しさ。最後の「才能がない」という言葉が、胸に刺さります。

Instagram保存投稿から見えた"憧れと現実のギャップ"

次に、Instagramの保存投稿を見せてもらいました。

5人とも、共通して保存していたのは以下のような投稿。

「時短ワーママが月5万稼ぐまで」系のリール動画
「子育てしながら起業しました」系のストーリー
「好きなことで生きていく」系のポエム投稿

でも、ヒアリングで聞くと、全員が「見るたびに落ち込む」と答えた。

D香さん(31歳)は言います。
「最初は『私もできるかも』って思うんです。でも、よく見ると『元々Webデザインの仕事してました』とか『夫が理解あって家事全部やってくれます』とか書いてある。『あ、私とは違うんだ』って思って、閉じちゃう」

E代さん(35歳)も同じことを言っていました。
「キラキラした投稿を見ると、一瞬モチベーション上がるんですけど、次の瞬間『私にはできない理由』ばかり探してる自分がいて。結局、保存だけして何もしない」

本当の悩みは「ノウハウ不足」じゃない

ここまでのヒアリングで、私は確信しました。

彼女たちに本当に必要なのは、「副業の始め方」ではない。

必要なのは、

「私でもできる」という自己肯定感
「小さく始めていい」という許可
「失敗してもいい」という安心感

そして、何より──
「私の悩みを、誰かが言語化してくれた」という共感です。

これが、ChatGPTを使ったペルソナ深掘りの本質だと、私は考えています。

第3章:ChatGPTで「感情の地層」を掘り当てる方法

プロンプト設計の"3つの階層"