☑️目次

✅「ネットワーク効果（network effect）」

✅「単純接触効果（Mere Exposure Effect）」

✅「返報性の原理（reciprocity principle）」

✅「サンクコスト」（sunk cost）

✅「スイッチングコスト」

✅「ロックイン効果」

経済学・ビジネス戦略におけるロックイン効果

1. スイッチングコスト

2. ネットワーク効果

3. プラットフォーム戦争

技術・テクノロジーにおけるロックイン

1. プロプライエタリ技術

2. クラウドサービスのプロバイダー依存

3. 古いITインフラの維持

まとめ

✅「内集団バイアス」（In-group bias）

✅コンテンツビジネス×「内集団バイアス」

✅確実性バイアス（certainty bias）

✅「確実性バイアスをやっつけろ！」

✅「正規分布とべき分布」

✅「普通ではリッチになれない。異常値になれ」

✅「ネットワーク効果」（network effect）

「ネットワーク効果（network effect）」は、利用者数が増加するほど製品やサービスの価値が高まる現象として広く認識されています。この概念を具体的な数値やエビデンスを用いて説明します。

一つ目の事例として、ソーシャルメディアの成長が挙げられます。Facebookの場合、2004年の設立当初、ユーザー数は2004年末の38万人に過ぎませんでしたが、その後、2012年に10億人を突破、2022年には29億人を超えました（Statista, 2022）。ユーザー数の急増に伴って、広告収入も増加し、例えば2013年の広告収入は79億ドルから2021年には1149億ドルに達しました（Facebook Annual Reports）。この急成長は、利用者数の増加がサービスの価値を高め、さらに多くの新規ユーザーを引き寄せるという典型的なネットワーク効果を示しています。

次に、電話の普及に伴う価値増大について。1930年代から1940年代にかけて、AT&Tは電話加入者数の増加と通話数の相関関係を調査しました（John, 2010）。その結果、電話加入者数が増えるに連れ、通話量は非線形に増加することが観察されました。具体的には、1950年代までに約4,000万の加入者が存在し、その時点の通話量は数百億件に達するというデータが報告されています。同社の収益も著しく増加し、1930年代から1950年代にかけて年間収益は20億ドルから60億ドルに跳ね上がりました（AT&T Historical Records）。

オンラインマーケットプレイスの事例として、Amazonを取り上げます。1997年のIPO時、Amazonのユーザー数は150万人、年間売上は1億4,700万ドルでしたが、2021年の年間売上は4,690億ドルに達しました（Amazon Annual Reports, 2021）。特筆すべきは、2012年にAmazon Primeの会員数が1,000万人を突破した後、2021年には2億人に達している点です。この成長は、利用者数の増加がプラットフォームの価値を高め、ネットワーク効果が顕著に作用していることを示しています。

クラウドサービスについても、同様の傾向が確認されています。Amazon Web Services（AWS）は2006年にスタートし、初年度の売上は約3,000万ドルでしたが、2021年には620億ドルに達しました（Amazon Annual Reports, 2021）。同時期に、企業ユーザー数も急増し、2021年には200万を超えました（Amazon AWS Reports）。多くの企業がAWSを選ぶことで、サービスの質と信頼性が向上し、さらに多くの企業を引き寄せるというポジティブなフィードバックループが形成されました。

最後に、エコシステムの互換性に触れます。AppleのApp Storeは2008年のローンチ時には500のアプリしかありませんでしたが、2022年には約410万のアプリが提供されています（Statista, 2022）。2021年に世界全体でのApp Storeの売上は643億ドルに達しています。これもまた、ユーザー数の増加に応じてアプリ開発者が参入し、さらに多くのユーザーを引き寄せるというネットワーク効果の典型例です。

✅「単純接触効果」（Mere Exposure Effect）