はじめに

この本に興味を持ったあなたは、投資をこれから始めたい人、または投資を初めてまだ間もない人で、世界最大の株式市場であるアメリカ市場への投資に興味があるのではないでしょうか。

しかし、アメリカ株式市場と聞くと、こんな不安を抱えていませんか。

・アメリカ株式市場の仕組みがよく分からない

・どの銘柄を選べばいいのかわからない

・為替の影響が心配

・投資のタイミングがつかめない

こうした不安は誰もが経験することです。

そんな投資初心者のあなたに、ぜひとも知っていただきたいのが「S&P 500」です。S&P 500は、S＆P500は、投資のプロでなくても、アメリカを代表する500社の株式に一括で分散投資できる、とてもシンプルな投資方法なのです。

とはいえS&P 500って、そもそも一体何なのでしょうか。本当に初心者でも大丈夫なのでしょうか。どんなメリットやデメリットがあるのでしょうか。そんな疑問をお持ちの方も多いと思います。

でも大丈夫です。本書では、S&P 500のすべてを、易しく丁寧に説明していきます。S&P 500が生まれた歴史的背景から、その仕組み、投資方法、運用のコツまで、これ1冊ですっきりわかります。巷に溢れる投資情報に振り回されることなく、自信を持って投資に踏み出せるようになります。

投資の世界に飛び込むのは、確かに勇気のいることかもしれません。でも著者も、かつてはあなたと同じ初心者でした。だからこそ、初心者の視点を大切にしながら、S&P 500の魅力と実力をしっかりとお伝えできると確信しています。

S&P 500は、100年以上の歴史を持つ世界最高の投資指標の一つです。アメリカ経済の成長とともに着実に価値を高め、多くの投資家の資産形成に貢献してきました。株式投資を始めようと考えている方にとって、これ以上の選択肢はないかもしれません。

さあ、あなたの資産形成への第一歩を、本書から踏み出してみませんか。最初は分からないことだらけかもしれません。でも一緒に前に進んでいきましょう。読み終える頃には、きっとあなたも立派な投資家です。S&P 500を味方に、夢に向かって羽ばたいて下さい。

なお、最後まで読んでいただいた読者の皆さんには、最後にすばらしい【特典】をご用意していますのでお楽しみに。

第1章 S&P 500とは

本書を手にしたあなたは「S&P 500ってなんだかすごそうだけれど、なんとなく良く分からない」と感じているのではないでしょうか。確かにS&P 500という名前だけ聞いても、それがどんなものなのかピンとこないかもしれません。

そこで、この章では「そもそもS&P 500って何？」という素朴な疑問にお答えしつつ、世界最大の株式市場であるアメリカ市場への投資の考え方にも触れていきます。これらを理解することが、S&P 500投資の第一歩となるでしょう。

S&P 500の概要

あなたは「株価指数」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。株価指数とは、たくさんの会社の株価をまとめて、市場全体の値動きが分かるようにした指標のことです。日本でいえば日経平均株価のようなものですね。

その株価指数の中でも、有名なのが「S&P 500」です。S&P 500は、アメリカを代表する500社の株価をまとめた指数で、世界で最も有名な株価指数の一つなんです。

S&P 500への投資は、いわばアメリカ経済全体への投資。アップル、マイクロソフト、アマゾンといった超有名企業から、生活に身近な企業まで、アメリカを代表する会社の株式に一括で投資することができるのです。

しかも、S&P 500に連動した投資信託やETFを買うのに大きな元手は要りません。投資を始めたいと思ったその日から、すぐに気軽に取引を開始できます。株式投資の経験がある方にはもちろん、「株は初めてで何から始めたら良いか分からない」という初心者の方にも最適の投資対象なのです。

ただ、いきなり「アメリカの500社に投資する」と聞くと、初心者にはとても難しそうに感じられるかもしれません。「投資って専門的な知識が必要なんじゃないの?」「自分には無理かも」と不安を感じるのはごく自然なこと。

でも大丈夫。S&P 500は、実は初心者にこそ有利な投資対象なんです。なぜなら、個別の株を選ぶ必要がなく、アメリカ経済の全体に投資して、経済全体の成長の恩恵を簡単に受けられるからです。

とにかく最初は「S&P 500を買うとアメリカの上位優良企業500社に投資できる」「100年以上の歴史がある信頼できる指数」という2点だけ覚えておいてください。それが、S&P 500投資への第一歩です。

アメリカのトップ企業に投資するということは、つまりGAFAM（Google, Apple, Facebook, Amazon, Microsoft）といった世界を代表するIT企業から、コカ・コーラやマクドナルドといった誰もが知っている企業まで、アメリカを代表する会社の株を一度に買えるということ。それも少額から始められるんです。

まずは、S&P 500の歴史と基本的な考え方について見ていきましょう。

1-2 インデックス投資の基礎

S&P 500を理解する上で欠かせないのが、インデックス投資の考え方です。聞き慣れない言葉かもしれませんが、海外ではすでに主流の投資スタイルなんです。

まず「インデックス」とは日本語で「指数」のこと。例えば日経平均株価は、東京証券取引所に上場している約225社の株価の平均値を指数化したものです。つまり日本株式市場の動きを表すひとつの物差しとして機能しているわけです。

同じように、S&P 500も米国の株式市場の動きを表す指数のひとつ。S&P 500に投資すると、この指数つまりアメリカ優良企業の平均とほぼ同じ値動きをする運用が期待できるんです。

ここで「株のプロが運用するんだから、平均指数より良い成績を出せるのでは?」と思われる方もいるかもしれません。確かに、指数を上回る運用成績を目指すアクティブ運用というスタイルの投資信託もあります。

でも、長い目で見ると、プロの運用でもS&P 500に勝ち続けるのはものすごく難しいと言われているんです。むしろコストが余計にかかるだけで、結果的にはS&P 500に負けてしまうケースがほとんどです。

だったら最初から、余計な手間や手数料を取られずにS&P 500と同じリターンを狙った方が効率的。そう考えたのが、インデックス投資なのです。

もちろん投資にはリスクがつきものですから、必ずしもプラスリターンを約束するわけではありません。株式市場全体が下がったときは、S&P 500も一緒に下がるでしょう。

でも、だからこそS&P 500投資には大きな利点があります。それは、米国株式市場が長い目で見て上昇するなら、確実にその恩恵を受けられるということ。米国経済はまだまだ発展を続けているため、S&P 500に投資を続けることで着実に資産を積み上げられるのです。

実際に、1957年のS&P 500開始時から2024年までの間、米国経済は数々の危機（暴落）を乗り越えながらも着実に成長を続けてきました。その間、S&P 500は約50倍以上に上昇したんです。

出典:S＆P 500目論見書(2025年1月)

とはいえ、初心者にとってはまだピンとこないかもしれませんね。でも大丈夫。実際にS&P 500の中身を見ていくことで、インデックス投資の仕組みはもっとよく分かるはずです。次の節では、S&P 500がどんな歴史を持ち、どのように運営されているのか、詳しく見ていきましょう。

1-3 S&P 500の歴史と運営会社

ここまで、S&P 500の概要とインデックス投資の基本的な考え方を見てきました。でも、S&P 500を深く理解するには、その生い立ちにも目を向ける必要があります。そこで、この節ではS&P 500の歴史と、それを支える運営会社について詳しく説明したいと思います。

S&P 500の「S&P」という名前は、スタンダード&プアーズという会社の頭文字を取ったものです。このスタンダード&プアーズという会社名には、とても興味深い歴史が隠されているんです。

まず「プアーズ」の部分は、ヘンリー・バーナム・プアーという人物の名前に由来します。彼は1812年にアメリカで生まれ、1838年に弁護士資格を取得しました。その後、1849年に兄と鉄道業界の情報を集めた出版物を発行したのが、今のS&P社の始まりなんです。

プアーズ社は1941年、もう一つの会社「スタンダード・スタティスティックス社」と合併します。この合併で誕生したのが「スタンダード&プアーズ社」。S&P 500の運営会社の誕生です。

そして1957年、ついにS&P 500が正式に誕生します。それまでも233銘柄といった株価指数はありましたが、米国を代表する500社を対象とした現在の形になったのがこの時なんです。

このように、S&P 500は単なる株価指数ではありません。約170年前、一人の起業家が鉄道業界の情報を集め始め、それが株式市場全体に広がり、今や世界で最も信頼される株価指数の一つへと成長したのです。

現在、S&P 500を運営しているのはS&Pダウ・ジョーンズ・インデックス社。S&P 500の銘柄選定は、「指数委員会」という専門家集団が行っています。彼らが定期的に会合を開き、どの企業をS&P 500に入れるか、どの企業を外すかを決めているんです。

これは株式市場の「門番」のような役割。米国を代表する500社に選ばれることは、その企業にとって大きな名誉であり、同時に責任でもあります。つまり、S&P 500に選ばれることは、その企業が米国を代表する優良企業として認められたということなんです。

このように見ていくと、S&P 500にはもともと「良質な遺伝子」が流れていることが分かります。投資家の期待に応えるべく誕生し、信頼できる運営会社に支えられながら成長してきた。そんなS&P 500の歴史を紐解くことで、あなたも自信をもって投資の世界に踏み出せるはずです。

S&P 500を通じて米国の優良な成長企業の利益の一部を享受する。その投資の旅に、大きな夢と希望を感じずにはいられません。次の節では、S&P 500と似た投資商品についても見ていきましょう。

1-4 S&P 500の類似商品

S&P 500はアメリカの代表的な株価指数である事を説明してきましたが、実はこれと似たような指数は他にも存在します。

まず、ダウ平均について見てみましょう。こちらは1896年に誕生した株価指数で、S&P 500よりも古い歴史を持っています。アメリカを代表する30社の株価を平均して算出する指数で、ニュースでもよく取り上げられますね。

例えばS&P 500が4000ポイントの時、ダウ平均は32000ドルといった具合に、それぞれ別々の数値で示されます。これは計算方法が異なるためですが、両方ともアメリカの株式市場の動きを表す代表的な指標として使われているんです。

一方、ナスダック総合指数は比較的新しい指数です。ナスダック市場に上場している約3000社の株価を反映しており、特にIT企業やバイオ企業など、先端技術を持つ成長企業の比率が高いのが特徴です。

このように、同じアメリカの株価指数でも、それぞれ特徴が異なります。例えば、ダウ平均は30社と対象企業が少なく、株価の高い企業の影響を受けやすい傾向があります。一方、ナスダック総合指数は新興企業も多く含むため、S&P 500より値動きが大きくなりがちです。

では、なぜS&P 500が世界中の投資家から支持されているのでしょうか。それは、500社という適度な企業数と、時価総額に応じた投資比率によって、アメリカ経済全体の動きを最もバランスよく表現できているからなんです。

しかも、ダウ平均やナスダック総合指数と比べて、S&P 500は銘柄の入れ替えが少なく、長期投資に適しています。また、多くの機関投資家がS&P 500を投資の基準として採用しているため、連動性の高い投資信託やETFが豊富に用意されているのも魅力です。

とはいえ、指数選びに正解も不正解もありません。大切なのは、自分に合った形でアメリカ経済の成長を享受すること。S&P 500一本でシンプルに行くのも良し、他の指数と組み合わせて細やかにリスク/リターンをコントロールするのも良し。自分なりの投資スタイルを追求していくことで、長い投資人生を実りあるものにできるでしょう。

また同じS&P 500に連動する投資信託は、実は日本でもいくつか提供されています。その代表例が、「SBI・V・S&P500インデックス・ファンド」と「楽天・プラス・S&P500インデックス・ファンド」です。

まず、SBI・V・S&P500インデックス・ファンドについて見てみましょう。こちらはSBI証券が提供する投資信託で、S&P 500に連動することを目指して運用されています。信託報酬は年0.106%（税込）と、とても低コストなのが特徴です。

一方、楽天・プラス・S&P500インデックス・ファンドは、楽天投信が運用する商品です。こちらも同じくS&P 500への連動を目指しており、信託報酬は年0.154%（税込）となっています。

両者の違いは主に運用会社と手数料の違いだけです。どちらもS&P 500に連動することを目指しているため、運用成績に大きな違いは生じません。つまり、どちらを選んでも、S&P 500の値動きとほぼ同じリターンが期待できるんです。

例えば、S&P 500が10%上昇した場合、手数料などの違いを除けば、どちらのファンドもほぼ10%の値上がりとなります。逆にS&P 500が下落した場合も、同じように値下がりします。

では、どちらを選べばいいのでしょうか。実は、これは主にあなたがどの証券会社の口座を持っているかで決めれば良いんです。SBI証券の口座を持っているならSBIのファンド、楽天証券なら楽天のファンドを選ぶのが一般的です。

なぜなら、同じ証券会社のファンドを購入した方が、取引がしやすく、また取引コストを抑えられることが多いからです。ただし、手数料の違いが気になる場合は、より低コストな方を選ぶという判断もありですね。

どちらの口座もお持ちでなくても、投資のポイントは商品選びよりも、長期的な視点を持って継続的に投資を続けることです。S&P 500に投資するなら、どの商品を選んでも、アメリカ経済の成長の恩恵を受けることができます。

大切なのは、自分に合った形でアメリカ経済の成長を享受すること。商品選びに悩みすぎず、まずは投資を始めてみることをおすすめします。

ここまでS&P 500の基礎知識を見てきました。次の章では、いよいよS&P 500の具体的な特徴について詳しく見ていきましょう。

ここから先は有料コンテンツですが、ぜひ読み進めていただけると嬉しいです。

そして、最後までお読みいただいた皆様には素敵な特典をご用意していますので、お楽しみに。