はじめに：異世界の扉を開く音楽の力

生成AIでいろいろ試す中、画像と音楽の組み合わせでYouTubeチャンネル「異世界アニメと幻想音楽 - Japan Animation & Fantasy Music -」を立ち上げました。このチャンネルでは、ファンタジー世界を彷彿とさせる音楽を中心に配信しており、特に「エルフの森の旋律」という作品は2025年2月末現在でもうすぐ15万再生に届きそうな状況です。

※ちなみにこの1本だけで約10万円の広告収益を得ました。

この記事では、人工知能を活用した音楽生成ツール「SunoAI」を使って、どのようにファンタジー系のBGMを作成しているのか、その秘訣を洗いざらい公開したいと思います。作曲の専門知識がなくても、適切なプロンプト（指示文）を入力するだけで、まるで異世界から聴こえてくるような音楽を生み出すことができるのです。

あなたも今日から、ファンタジー世界への扉を開く音楽クリエイターになれます。さあ、未知なる音楽の旅に出発しましょう。

この記事・プロンプトは、情報が古くならないように随時アップデートします。何か疑問点、不具合などがあればコメントをお願いします。できる限り対応いたします。

SunoAIとは？音楽制作の新時代

SunoAIは、テキストプロンプトから高品質な音楽を生成できる革新的なAIツールです。これまでの音楽制作では、専門的な知識や高価な機材、そして何よりも膨大な時間が必要でした。しかし、SunoAIの登場により、音楽制作の距離感が一気に縮みました。

SunoAIの最大の特徴は、テキスト入力だけで完成度の高い楽曲を生成できる点です。「ケルト風の明るい曲」「神秘的な森をイメージした静かな曲」といった言葉での指示だけで、AIが適切な楽器編成、メロディ、リズム、ハーモニーを考慮した楽曲を作り出してくれます。

私が運営するYouTubeチャンネルの楽曲も、SunoAIで生成したものが大半を占めています。万単位の再生数まで延びた「エルフの森の旋律」や「吟遊詩人と舞踏家の宴」「ケルト音楽とゲームの世界ー城塞都市で過ごす1日」も、SunoAIで生成した音楽と、若干他の生成AIで作った曲を混ぜています。作曲に関する専門知識がなくても、イメージを言葉で伝えるだけで素晴らしい曲ができあがるというのが、SunoAIの最大の魅力です。

基本操作：誰でも作曲家になれる

簡単にSunoAIの基本的な使い方から説明していきましょう。

（詳しい操作方法はネットの記事やYouTubeをチュックしてください）

左のメニューからCreateを選択すると音楽生成の画面になります。

アカウント作成とログイン：SunoAIの公式サイト（https://ai.suno.jp）にアクセスし、アカウントを作成します。無料プランでも月に数回の生成が可能ですが、本格的に使用する場合は有料プランへの登録をおすすめします。
プロンプト入力：ログイン後、左メニューから「Create」に切り替え、「Custom」をOFFにしてから、「Song description」のテキストフィールドに楽曲のイメージを文章で入力します。例えば「A mystical Celtic tune with flutes and harps that evokes an enchanted forest」（フルートとハープを使った、魔法の森を連想させる神秘的なケルト調の曲）といった具合です。今回はインスト曲に絞って説明しますので、「Instrumental」はONです。バージョンはV4（2025年2月段階で最新）。
生成ボタンをクリック：入力が完了したら「Create」ボタンをクリックします。AIが楽曲を生成する処理を始めるので、しばらく待ちます。この間、AIは指示された内容を理解し、適切な楽器選定、メロディ構築、全体の構成を考慮して楽曲を作り上げています。
楽曲のダウンロードと編集：生成が完了すると、2曲の候補が再生できるようになります。聴いてみて、気に入った楽曲は「Download」ボタンからMP3ファイルかWAVファイル形式でダウンロードできます。音楽編集ソフトを使える人は、アレンジを加えることも可能です。
楽曲の延長：生成された楽曲は初期設定で約1分〜4分程度の長さですが、4分で途中で切れる場合があります。そのときは「Extend」機能を使えば曲を延長することができます。同じ雰囲気を保ちながら、自然な流れで続きの曲を生成できます。

途中で切れる4分の楽曲は、Create>Extendで続きを生成できます。

出来上がった曲はDownloadからMP3/WAV形式で保存。

SunoAIの基本操作はこれだけです。しかし、本当に魅力的なファンタジー系BGMを作るためには、プロンプトの工夫が重要になります。次章からは、実際に私が使用しているプロンプトのテクニックと、それによって生まれた楽曲をご紹介していきます。最終的に合体させれば曲の出来上がりです。

Sunoと双璧を成すUdioを併用すると

Udioは、2024年4月にベータ版として公開されて以降、革新的な音楽生成AIサービスとして、Suno AIの有力な対抗馬として急速に注目を集めてきました。現在も代表格のサービスです。

UdioもSunoAIと同様、テキストプロンプトだけで驚くほど高品質な楽曲を生成できます。特にボーカルの生っぽさとバックの演奏音質が優れており、プロが作ったような楽曲のクオリティを誇ります。

アカウント作成とログイン：Udioの公式サイト（https://www.udio.com/）にアクセスし、Google、Discord、X、Appleのアカウントを使ってログインします。
プロンプト入力：画面上部の①テキストボックスに、生成したい曲のジャンルや雰囲気を入力します。参考になる音源をアップロードし、それをベースに生成する機能もあります。「Lyrics」は②「Instrumental」を選んでインスト曲に指定しましょう（拡張機能は複雑な省略します）。　
曲の生成：③「Create」ボタンを押すと、④曲リストに32秒の曲が2パターン生成されます。SunoAIに比べると生成時間はやや長めです。
楽曲の延長：Udioの生成は32秒が基準なので、その前後いずれかに曲を延長してつないでいきます。曲の「Extend」ボタンを押すと延長画面に切り替わるので、「Extension Placement」から前後のどちらかを延長するか、イントロ、アウトロにするか選択します。
楽曲のダウンロードと編集：つないで完成した曲は「Download」で音源デートとして保存できます。

Udioではプロンプトの工夫次第で、より希望に近い楽曲を生成できます。音楽ジャンル（Rock、Pop、Jazz、Hip-Hopなど）、感情表現（joyful、wistful、saddened）、使用楽器（Trumpet、Saxophone、Violin）などを具体的に指定すると、イメージにマッチした楽曲が生まれやすくなるでしょう。

生成した楽曲は個人的および商業的な目的で使用可能ですが、他のユーザーが生成した楽曲は商用利用できない点には注意が必要です。

ファンタジー系BGMが持つ特別な魅力

ファンタジー系BGMには、聴く人を別世界へと誘う不思議な魅力があります。なぜファンタジー系の音楽は多くの人を魅了するのでしょうか？

最大の特徴は「物語性」です。言葉を一切使わずとも、音だけで壮大な冒険や神秘的な風景、時には切ない別れや感動的な再会まで表現できます。ドラゴンクエストやファイナルファンタジーをはじめとする人気ゲームがそのイメージを定着させ、さらにアニメ作品のBGMでも、こうした雰囲気を持った音楽は増えています。

また、「没入感」を生み出す力も持っています。読書や作業、瞑想などの背景音楽として使われることも多く、現実世界から一時的に離れて集中力を高めたり、創造性を刺激したりする効果があります。実際、私のチャンネルのコメント欄には「この音楽を聴きながら朝の時間を過ごしています」「仕事中に聴くと集中力が上がります」といった感想が寄せられています。

さらに、ファンタジー系の音楽には「癒し」の効果もあります。自然音や民族楽器の響き、緩やかなテンポが心地良い安らぎをもたらし、ノスタルジックな世界へ導いて、ストレス社会に生きる現代人の心を解放してくれるのでしょう。

これらの魅力を持つファンタジー系BGMを、次章からは具体的なプロンプト例とともに紹介していきます。

ファンタジーを感じる音楽 9つのアプローチ

それではファンタジー系BGMを実際に作る際に、どのようなアプローチの仕方があるのかを解説していきます。ケルト音楽など9つのアプローチごとに音楽のジャンルや楽器、テーマや雰囲気、構成・展開などをまとめましたので、ぜひ参考にしてください。ただ、音楽理論などに詳しく、細かいこだわりを再現したい人ではない限り、ジャンルとテーマ・雰囲気だけで問題ありません。特に曲の構成・展開は専門用語が多く分かりづらいので、プロンプトに含めなくても大丈夫です。

1. ケルト音楽：森と風の調べ

ケルト音楽は、アイルランドやスコットランドなどのケルト文化圏から生まれた伝統音楽です。フルート、バグパイプ、ハープなどの楽器が特徴的で、神秘的でありながら親しみやすいメロディが魅力です。

プロンプト例：

Style: Celtic fantasy: Harp, Irish flute, percussive bodhran drum create calm magical forest theme. Flowing melody evokes dancing fairies. Builds gradually from solo Irish flute to full ensemble.

このプロンプトでは以下の要素を指定しています。

ケルト風ファンタジー音楽
使用楽器：ハープ、アイリッシュフルート、ボーランドラム
穏やかな魔法の森をテーマにした曲調
妖精が踊るイメージを喚起する流れるようなメロディ
フルートから始まり、徐々に楽器を加えていく構成

このプロンプトから生成された楽曲は、まさに妖精たちが古代の樹々の間で踊っているような情景を思い起こさせるものとなりました。聴く人の想像力を刺激し、緑豊かな神秘的な森の世界へと導いてくれます。

▶♫実際の曲を聴いてください。

ケルト音楽のプロンプト要素集

音楽ジャンル：

Celtic folk music (ケルト民俗音楽)

Celtic fantasy (ケルトファンタジー)

Celtic Rock (ケルト調ロック)

Scottish folk (スコットランド民謡)

Celtic instrumental (ケルト楽器曲)

Gaelic traditional (ゲール伝統音楽)

Celtic medieval sound (ケルト中世音楽)

Celtic ambient (ケルトアンビエント)

Celtic orchestral (ケルトオーケストラ)

Celtic new age (ケルトニューエイジ)

Celtic soundscape (ケルト音響風景)

Breton folk (ブルターニュ民謡)

Celtic cinematic (映画的ケルト)

Ethereal Celtic (幻想的ケルト)

Celtic tribal (ケルト部族音楽)

Celtic mystical (神秘的ケルト)

Pastoral Celtic (牧歌的ケルト)

Celtic chamber music (ケルト室内楽)

Celtic lullaby (ケルト子守唄)

使用楽器：

Irish flute (アイリッシュフルート)

Celtic harp (ケルトハープ)

Uilleann pipes (アイルランドのバグパイプ)

Tin whistle (ティンホイッスル)

Fiddle (フィドル)

Bodhrán drum (ボドラン太鼓)

Mandolin (マンドリン)

Acoustic guitar (アコースティックギター)

banjo (バンジョー)

Bagpipes (バグパイプ)

Celtic percussion (ケルト打楽器)

Frame drum (フレームドラム)

Bouzouki (ブズーキ)

Lute (リュート)

Accordion (アコーディオン)

Recorder (リコーダー)

テーマ：

Magical forest (魔法の森)

Ancient druid ritual (古代ドルイドの儀式)

Fairy dance (妖精の踊り)

Highland journey (ハイランドへの旅)

Misty Glen (霧の渓谷)

Celtic twilight (ケルトの黄昏)

Enchanted well (魔法の井戸)

Sacred grove (神聖な木立)

Irish countryside (アイルランドの田園)

Mystical lake (神秘の湖)

Celtic legends (ケルトの伝説)

Green valleys (緑あふれる谷)

Harvest Season (収穫の季節)

Castle ruins (城跡)

Coastal cliffs (海岸の断崖)

Forest spirits (森の精霊)

Medieval fair (中世の市場)

雰囲気：

Mystical (神秘的)

Enchanting (魅惑的)

Whimsical (奇想天外)

Ethereal (優美)

Peaceful (平和)

Playful (遊び心)

Melancholic (物悲しい)

Nostalgic (懐かしい)

Jubilant (歓喜)

Serene (静寂)

Mysterious (謎めいた)

Uplifting (高揚)

Dreamy (夢見るような)

Soothing (なだめるような)

Magical (魔法のような)

Contemplative (瞑想的)

Inspirational (鼓舞する)

Ancient (古代の)

Sacred (神聖な)

Rustic (素朴な)