――都市伝説が示す、情報拡散時代の“静かな危機”

【はじめに】

あなたは「赤い部屋」という都市伝説をご存知だろうか。

一見すると、よくあるネット発のホラーに思えるかもしれない。だが、この話の本質は単なる恐怖譚にとどまらない。そこには、私たちが日常的に接している“インターネット”という存在が持つ危険性が、巧妙に隠されているのだ。

今回は、この「赤い部屋」の都市伝説を入り口に、ネット社会の深層、そして現代に潜む静かなリスクについて掘り下げていく。

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赤い部屋とは何か？

この都市伝説は、2000年代初頭の日本に登場したフラッシュ動画がきっかけだった。

ある人物がパソコンを使っていると、突然ブラウザに「あなたは赤い部屋が好きですか？」というウィンドウが表示される。ウィンドウを閉じても次々に開かれ、逃げ場がない。そして最後には、その人物が自殺していた――というものだ。

この“赤い部屋”の話は一時期、実在の事件との関連まで囁かれたことがある。

2004年の「佐世保小6女児同級生殺害事件」では、加害者の少女が“赤い部屋”のフラッシュ動画を好んで見ていたという噂が飛び交い、それが伝説にさらに現実味を与えた。

ここまでは、よくあるネットホラーで終わる話だ。

だが、この話がこれほど長きにわたり人々の記憶に残り続けているのには、別の理由がある。