以下に挙げた13のサービスは、実は「ある視点」から見ると共通して、旧態依然としたサービス内容で停滞していることがわかります。

その「ある視点」で照らしてみると、これまで提供されることのなかったあらたなサービスを導き出すことができます。

これから新規事業を考えている人は大いに役立つ内容だと思いますので、ぜひご覧ください。その「ある視点」とは何か、それを駆使するためには何が必要なのかも考えながら読み進めてください。

はじめに

感覚に頼る世界に、あらたな思考を持ち込む──13の領域から読み解く、新しいビジネスの可能性

「それっぽく聞こえる話」や「うまくいった誰かの体験談」に、つい心が動いてしまう──そんな経験は、誰しも一度はあるのではないでしょうか。

健康、ダイエット、転職、恋愛、副業…。これらのテーマは私たちの日常に深く関わるものでありながら、その意思決定が“感覚”や“運”に大きく委ねられている場面は意外と多く見られます。

もちろん、人間は感情の生き物ですから、すべてを数値やロジックで語ることが正解とは限りません。けれども一方で、合理的な「ある視点」を少し加えるだけで、選択の質が大きく変わることもあるのではないでしょうか。

例えば、ダイエットであれば「○○だけで痩せる」といった表現に飛びつきたくなる気持ちは分かります。けれど、その方法で実際に痩せられる人の割合が5％程度だったとしたら、それは果たして最善の選択と言えるのでしょうか？

また、SNSで話題の副業法が「月に50万円稼げた」と紹介されていたとしても、それが全体の何％の人に再現可能なのかが不明であれば、期待通りの成果が得られるかは運任せになってしまうかもしれません。

本来、ビジネスや人生の意思決定においては、成果の分布や確率、再現性のある構造といった「期待値的な視座」が不可欠です。にもかかわらず、多くの領域ではこの思考が軽視され、個々の体験やストーリーが過大評価される傾向にあります。

これは、単なる思考スタイルの問題ではなく、社会構造や情報の伝わり方、あるいは人間の認知特性に深く根ざした現象とも言えるでしょう。そしてそこにこそ、構造的な“盲点”が生まれ、誰も拾わなかった新しいビジネスの種が潜んでいるのではないか──。そう考えることが、本記事の出発点です。

この記事では、「期待値思考が軽視されている14の領域」に光を当て、それぞれの分野でどのように意思決定の質を高めるサービスや仕組みが提供できるのかを探っていきます。

感情や物語を否定するのではなく、それらに優しく寄り添いながら、確率やデータの視点を“補助線”として引いてみる。そんな発想から生まれる事業アイデアを、ひとつひとつ丁寧に掘り下げていきます。

果たして、感覚に頼る世界に“期待値の眼鏡”をかけてみると、どんな風景が見えてくるのでしょうか？

ぜひ、次の章からその問いを一緒に深めていけたらと思います。