「信じたいのに、信じられない。」

恋愛の中で、これほど苦しい矛盾はないのかもしれない。信じるって、すごくエネルギーが要る。「大丈夫」って言われたら、その言葉だけで不安を全部消せたらいいのに、現実は、そう簡単に心が納得してくれなかった。

私は遠距離恋愛の最中、まさにその感情に何度も心を揺さぶられた。

スマホの画面に浮かぶ「既読」マーク。その横に返事はない。何かあったのかな、忙しいのかな、と最初は思っていた。でも、その“何か”が“誰か”かもしれない、そう考えた瞬間から、私の心は静かに壊れていった。

夜になると不安が増して、ベッドの中でスマホを見つめたまま眠れない夜もあった。相手に連絡することすら、どこかで“重い”と思われるのが怖くて、言いたいことを言えずに、ただ「待つ」ことを選んでしまう。

本当は聞きたい。「あの人と本当に何もないの？」って。本当は言いたい。「私は、すごく不安なんだよ」って。でも、言えない。

信じたい。でも、もしその気持ちが裏切られたらと思うと怖い。信じたい。でも、信じるには自分が傷つく覚悟がいる。

そんなふうに、自分の中で「信じたい」と「怖い」がずっと引っ張り合っていた。心の中で何度も問いかけて、でもその答えはいつも宙ぶらりん。

「信じる」って、思っていた以上に不安定で、孤独なことだった。

「ただの友達だよ」「近所に住んでるだけで、なんとも思ってない」

相手がそう言っていた相手が、いつも彼の家に立ち寄っていると知ったとき。直接見たわけじゃない。誰かのSNSの投稿だった。ぼんやり映った背景や、タグ付けされた写真。偶然の積み重ねで、私はそれを知った。

信じたかった。信じたかったのに。どんなに平然を装っていても、心の奥底では疑念が渦巻いていた。そしてその疑念は、日に日に私の心を締めつけていった。

「好き」のバランスが崩れるとき、恋は“ふたり”じゃなくなる

気づいたら私は、相手のことばかりを考えていた。返信が遅ければ理由を探し、電話が短ければ意味を読み取ろうとした。 LINEの「既読」一つで、一日中気持ちが浮き沈みした。

私の心は、完全に「相手次第」になっていた。どんな言葉をくれるか、どんな態度をとってくれるか。相手の出方ひとつで、自分の価値が決まるような気がしていた。

恋って、こんなに苦しかったっけ。いつから「嬉しい」と「苦しい」が紙一重になってしまったんだろう。

“好き”という気持ちは、ただ想うだけでは成り立たない。相手と自分、それぞれが自分のペースと心を持ち寄って、はじめて“ふたり”になれる。でも私は、気づかぬうちに「ふたり」でいることよりも、「ひとりでつながり続けること」に執着していた。

毎日の連絡も、会えない時間も、「私ばっかり」になっていないか常に気にしていた。それは優しさや思いやりではなく、心のどこかで“試して”いたのかもしれない。

私がどれだけ動けば、彼は振り向いてくれる？私がどれだけ想えば、気づいてくれる？

でもその問いに、答えは返ってこなかった。なぜならその時点で、もう恋のバランスは崩れていたから。

私が好きな気持ちが強すぎたのかもしれない。でも、気持ちの重さって、相手に伝わらなければただの負担になるんだ。それは“愛”じゃなくて、“圧”になってしまうこともある。

そして、その圧に気づいたときには、もう相手の心は少しずつ遠ざかっていた。

“ふたりでいる”ためには、お互いの間にある“余白”を大切にしなければならなかったんだ。自分の感情でいっぱいになった私は、その余白を奪っていた。そして、そのことに気づいたとき、ようやく本当の意味で「自分と向き合う」準備ができたのかもしれない。

ここから先は、有料部分で綴らせていただきます。後半では、私の心を救ってくれた「親友とのエピソード」や、そこから得た「恋愛との向き合い方」の気づきについて、より深くお話ししています。