はじめに

誰でもコンピュータを使える時代になったということは、コンピュータを操作できることは当たり前です。同じ操作をすれば同じ結果を得られますが、それでは誰がやっても同じだということです。逆に、プログラミングができると、コンピュータを効率よく使える、高速に処理できるなど、就職や普段の業務などにおける差別自分でプログラミングしなくても、やりたいことがあれば、プログラマに伝えてソフトウェアを作ってもらうことができます。プログラミングで実現できると知っていれば、プログラマと同じ視点で話ができます。それだけでも他の人と差別化にプログラミングを学ぶ必要があると言われる背景にはこういった現状があるのでMicrosoftやFacebookなど、プログラマ出身の経営者が創業した会社が増えていることを耳にする機会が多くなりました。彼らがこれまでのビジネスマンとは異なった考え方をして成功していることから、その仕事に対する考え方が多くの人にと化につながります。コンピュータやプログラミングに限らず、幅広い知識や技術を持つのは差別化を実現するための1つの方法かもしれません。変化の激しい現代においては、「同じことをより早く行う」ことが求められる場面が多いでしょう。ここにコンピュータの価値があります。

それでも、まだ自分でプログラムを作ることに抵抗がある人がいるかもしれません。便利なツールが次々登場するなら、それを待てばいい。それはその通りなのですが、欲しいものをどうやって手に入れるか、ということ

です。開発されるのを待つのも1つですが、開発者と話ができれば速やかに実現できます。プログラムを作っていると、どうしても想像通りに動かないことがあります。

そこで、いろいろ試すことで、コンピュータがどのように動作しているのか、その内部を理解できるのです。

何事も、やってみないことにはわかりません。プログラミングはお金をかけずに試すことが容易です。失敗しても、データを消せば最初からやり直せるという特徴もあります。

プログラミングや自動化を考えるとき、避けて通れないのが「コンピュータの目線」で考えることです。コンピュータは多くのことができる一方で、1つ1つの命令でできることは限られています。このとき、人間が考える「何を実現するか」を指示するのではなく、コンピュータで「どう実現するか」を考えなければなりません。このように、「何を実現するか」という視点から、「どうやって処理を行うのか」という視点に変え、それぞれの処理内容を1つずつ考え、プログラムとして書かなければなりません。プログラミングや自動化を考えるときに重要なのは、人間が行っている作業をそのままコンピュータで実行させてはいけない、ということです。索引を作成する、という作業を考える前に、コンピュータを使う時点で、そもそも索引を作成する必要があるのか、ということを考える必要があります。

この本で取り上げる自動化などのテクニックも、どんどん試してみることをおすすめします。最初からうまく動くことなど滅多にありませんが、試さないとどんな問題があるのかすら気づきません。

ぜひ、本書の内容を参考に、手を動かして試していただければと思います。そして、他の方法はないか、と考えていただけると嬉しいです。

この本書では、iOSの「ショートカット」というアプリが活躍します。iOS12から標準搭載されているアプリでかつては「Workflow」と呼ばれていました。プログラミングに近い感覚が必要ですが、専門的な知識がなくても使用できます。「IFTTT」というアプリも使用します。こちらは、「ショートカット」アプリと似た動きをし、Androidでも使用可能で、様々なサービスを連携させることができます。さらにショートカットアプリと似た機能をもつアプリに「Microsoft Power Automate」があります。Android端末やWebブラウザからも使用できます。こちらも使用します。それぞれの端末でダウンロードしておいてください。