はじめに

英語学習は、スポーツや⾳楽などの上達過程をイメージするとわかりやすいと思います。単語や熟語、⽂法を覚えるのは⾃主練のようなものです。ルールを覚えて、⾛ったり、ウェイトトレーニングしたり基礎的な体⼒や型を覚えたりするのと同じです。

どんなスポーツでも、楽器の演奏などでも基礎的な動作の反復がなければ上達しません。

プロになって、かなり上達した後でも、なおもそれを繰り返す毎⽇を送っています。

英語では、単語、熟語、構⽂などを⼗分理解し、⽂章の⾳を聞いて瞬時に意味が理解できる状態にします。そして、それを声に出して正確な⾳で⾔えるようになるまで繰り返し練習することです。

このことで、英語を英語のまま情報を把握する情報処理能⼒が向上します。私は、⾃分が⾳読している声を録⾳して発⾳をチェックし、客観的におかしくないと思えるまで何度も確認しました。

スポーツや⾳楽であれば、型ができて、スキルが上達したら、ようやく練習試合やリハーサルなどに出してもらえるようになりますよね。これが英会話では英会話教室に通ったり、オンライン英会話のレッスンを受ける段階です。

でも多くの⽅は基礎練習もせずに、英会話教室に通ったり、オンライン英会話のレッスンを受けたりしています。これは英会話上達にはとても効率の良くない順序です。

基礎もなく、基本動作もなっていない⼈が試合や発表会に出てもボロボロな状態になるのと同じです。

時間の浪費が多すぎるのです。

そして上達のスピードが遅すぎることに嫌気がさしてモチベーションも下がり、やがて初⼼を忘れ、継続することさえ難しくなってしまいます。

英語を⾝につけるのはとても難しいことだという間違った常識が多くの⼈の頭の中に出来上がってしまっています。

⾃主練をそれほどせず基礎体⼒もなく基本動作がまだスキルとして⾝についていない⼈は試合には出場させてもらえないですよね？

英語を⾝につけるためにしなければならないことは、毎⽇の⾳読の反復だという根拠がここにあるのです。

多くの⽅は英語は「勉強」するものだと思っています。

英語はとにかく毎⽇「練習（⾳読）」するものです。

特に会話は。

でも普通のことを普通じゃないくらい積み上げることでしかスキルというものは体に⾝につくことはありません。まずはこの4ヶ⽉そのことを意識してみて下さい。

1⽇たった30分×4ヶ⽉でその後の時間が⼤きく変化していきます。英語ができるようになると趣味や学びだけではなく、⼈からの信頼や⾃信も変わります。そしてなんといっても収⼊が変わるので、⾃由度が⾼まります。

毎⽇たった30分⾏動を変えるだけでこれほどコスパのいいことってありますか？

初⼼者が4ヶ⽉で英語が話せるようになるため、⽬標達成までに必要な時間は全てスキマ時間の活⽤で⼗分です。

⼤切な時間を割こうとする必要はありません。英語⼒はスキマ時間の過ごし⽅で⼤きく異なります。

毎⽇30分×4ヶ⽉、レッスンで使う英⽂を⾳読する（30分＝5分のスキマ時間×6回、10分のスキマ時間×3回、15分のスキマ時間×2回など）

■ ⾳読トレーニングの仕⽅

・新しい英⽂は最初の１週間で集中的に⾳読して（毎⽇5回ずつ）スラスラ⾔える馴染みの⽂章にする。

・最初の１週間で集中的に⾳読した英⽂は２週⽬以降毎⽇１回ずつ⾳読する。（１⽂の反復回数はトータル100回以上が理想的！）

・毎⽇1回⾳読する⽂章が毎週徐々に増えるので無理なく少しずつ⾳読する量(回数)を増やすことができます。

・1週⽬

　1週⽬の英⽂を毎⽇５回⾳読する

・2週⽬以降

　2週⽬の英⽂を毎⽇５回＋前週までの全ての英⽂を１回

発話量よりも⼤切なことは毎⽇継続することです。なぜなら、新しい知識やスキルを⾝につけるためには、より短期間のうちにより頻繁に同じものに出会うことが最も重要だからです。

「脳科学的な根拠」＝エビングハウスの忘却曲線

単語の暗記のような単純作業の繰り返しや、何度も「知っている、分かっている」と思っている英⽂の⾳読を繰り返すことは苦痛ですよね。でも、脳科学で記憶の定着に⼀番必要なのは「短期間の間に思い出す回数を増やすこと」だということが証明されています。「無意味なものを⼀度覚えて、時間を置き少し忘れた後で、また同じものを覚え直すのにどれだけ時間を節約できるか」ということを実験した⼈がいます。これはドイツ⼈のエビングハウスという⼼理学者によって⾏われた信頼のおける有名な実験です。

この時に節約できた時間の割合を節約率と⾔います。節約率は、⼀度覚えたものをある程度時間が経ってから、また完璧に覚えた元の状態に戻すのにどのくらい時間を節約できるかという割合です。

例えば、今、単語50個を覚えるのに10分かかったとします。この同じ50個の単語を少し時間が経った後で、再び全部覚えた状態に戻すために4分かかったとします。すると10分ではなく4分で完璧に覚えた状態に戻すことができたので最初にゼロから覚えた時よりも6分節約できたことになりますよね。この時の節約率は6分ÅÄ10分=60%になるということです。

実はこの実験によると、20分後の節約率は58%、約60％だということが分かっています。つまり確実に覚えたことを20分以内に復習すれば約60%時間を節約することができるということです。と⾔うことは、今、50単語を10分で覚えたとしたら、20分後に10分ではなく、4分でまた全部覚えた状態に戻すことができるわけです。

ちなみにこの実験結果によると、1時間⽴つと節約率は44％なので、完全に暗記した状態に戻すのに5分半以上かかることになります。24時間経ってしまうと34%まで落ちるので6分半以上かかることになってしまいます。

この節約率の落ち⽅を⾒て分かるように、可能な限り短期間のうちに繰り返し反復して思い出そうとすることで、より少ない時間で完璧に覚えている状態に戻すことができると⾔うことです。

20分後にもう⼀度思い出そうとするのと、次の⽇に思い出そうとするのとでは、節約率に相当開きがあるということは、それだけ時間を浪費し、学習効率が下がるということです。1⽇置いてしまうだけで⼈間の脳はこれだけ忘れてしまうので、毎日やらないと学習効率は大幅に落ちてしまいます。2⽇以上継続をやめてしまうと、覚える量と忘れる量の割合が逆転してしまうので、勉強しているのに全然進んでいないということがおこってしまいます。だから毎⽇継続しないと前に進まないのです。

このように⼈間の脳の機能、記憶のメカニズムを科学的な根拠を元に理解することで、より時間を無駄にせずに効率的に単語を覚えることができるわけです。

⼈間の脳は忘れる機能を備えています。⽳のたくさん空いたバケツのような⽋点があります。それをどう効率よく塞ぎながら学習効率を上げていくかが分かれば学習時間の浪費を抑えることができますよね。

毎⽇同じ英⽂の⾳読をすることが⼤切だということがお分かり頂けましたか？

この講座は16のレッスンで完結します。

全530ページのスライドのうち362のページを英会話に必要な英⽂法の講義の説明にたっぷり費やしています。

そして講義で理解した⽂法の知識を⾃由に使えるようにするため504の選りすぐりの練習⽤の英⽂をご⽤意しています。この英⽂を使って毎⽇30分程度、隙間時間に⾳読トレーニングを4ヶ⽉続けることで、⾃分の⾔いたいことのほとんどは⾔える状態になるはずです。

⾳読にしっかり取り組んでいるのに⾝についている実感がない場合は以下の３つのチェックをお願いしています。

・⾳読をする際、ちゃんと⽂章の内容をイメージできているか？

・1⽇30分以上⾳読しているか？

・間を開けず、毎⽇⾳読トレーンングを継続しているか？

皆様が4ヶ⽉後に必ず英会話が上達するように、ベストを尽くしてサポートさせて頂きます。

どうぞ宜しくお願いします。

Lesson 1【品詞・⽂の要素・5⽂型】

⽇本語（⾔葉の⾔語）vs 英語（語順「型」の⾔語）

【⽇本語】

私は毎朝、学校にバスで⾏きます。

【英語】

I go to school by bus every morning.

⽇本語と英語の語順の違い

【⽇本語】

主語＋（最後に）述語

私は学校に毎朝バスで⾏きます。

【英語】

主語＋（述語）動詞⇦主語のすぐ後ろに動詞

I go to school by bus every morning.

主語と述語（⽇本語と英語の違い）

【⽇本語の述語は3種類】

主語は何だ（主語＝名詞）

主語はどんなだ（主語＝形容詞）

主語はどうする（主語の動作や状態＝動詞）

【英語の述語（動詞）は2種類】

be動詞（主語は何だ/主語はどんなだ）名詞・形容詞

⼀般動詞（主語はどうする）動詞

８つの品詞

名詞（代名詞）

動詞

形容詞

副詞

前置詞

接続詞

間投詞

４つの重要な品詞

名詞「⼈やモノなどの名前」

代名詞「名詞の代わりになる単語」

動詞「主語の動作、状態、性質などを表す単語」

形容詞「名詞（代名詞）を説明する単語」

副詞「名詞（代名詞）以外を説明する単語」

その他の３つの品詞

前置詞「(代)名詞の前に置く単語」

接続詞「語と語、句と句、節と節を結びつける単語」

間投詞「驚きや喜びを表す単語」

4つの⽂の要素

主語（Subject）⇦名詞

動詞（Verb）⇦動詞

⽬的語（Object）⇦名詞

補語（Complement）⇦名詞・形容詞

４つの⽂の要素

主語(S)＝⽂の主⼈公

動詞(V)＝主語の動作、状態、性質を表す単語

⽬的語(O)＝動作の⽬的を表す語、句、節

補語(C)＝主語や⽬的語の性質や状態などを表す単語

４つの「⽂の要素」

主語(S)＝⽂の主⼈公（名詞）

Japan has a lot of beautiful rivers.

He likes playing baseball.

To walk is good for the health.

動詞(V)＝主語の性質、動作、状態を表す（動詞）

I speak English.

He likes playing baseball.

To walk is good for the health.

⽬的語(O)＝動作の⽬的を表す語、句、節（名詞）

I need a dictionary.

They finish reading the book.

I donʼt know what to do.

I hope that I will see you again.

補語(C)＝主語や⽬的語の性質や状態を表す（名詞・形容詞）

She is happy. (She=happy)

He is a student. (He=a student)

I make you happy. (you=happy)

5⽂型（英⽂の⾻組み）

第1⽂型…S＋V

第2⽂型…S＋V＋C

第3⽂型…S＋V＋O

第4⽂型…S＋V＋O＋O

第5⽂型…S＋V＋O＋C

第１⽂型（S＋V)

l 動詞の後に⽬的語がない

I go to school (when my father is at home).

私は学校に⾏く（⽗が家にいる時に）。

第２⽂型（S＋V＋C)

イコール⽂（主語と補語がイコールになる⽂）

He becomes a doctor (when he is 25 years old).

彼は医者になる（25歳の時に）。

第３⽂型（S＋V＋O)

動詞の直後に⽬的語がある（＝をに⽂）

ØShe studies English (to pass the exam).

Ø彼⼥は英語を勉強している（試験に合格するために）。

第４⽂型（S＋V＋O＋O)

動詞＝授与動詞＋⼈＋モノ（⼈にモノをあげる）

I give my girl friend a ring (before getting married).

私は彼⼥に指輪をあげます（結婚する前に）。

第５⽂型（S＋V＋O＋C)

O＝Cの状態にVする

He makes her happy (when he smiles at her).

彼は彼⼥を幸せにする（彼が彼⼥に微笑む時に）。

5⽂型（英⽂の9割以上は第1・2・3⽂型）

I go to school (when my father is at home).

He becomes a doctor (when he is 25).

She studies English (to pass the exam).

英語で何と⾔うでしょう？

私は今⽇、⽗が先⽉買った本を読みます。

I read a book which my father bought last month today.

伝えたい内容はシンプルに！

⽗は先⽉、本を買った。

私は今⽇、その本を読みます。

My father bought a book (last month).

I read the book (today).

⽂型を学ぶ意味

⽂型をきちんと理解すると英語が得意になる

⽂型を理解していないと話せない、書けない

⽂型には単語や熟語のように意味がある

どの⽂型か考えてみましょう！

My sister becomes a nurse.

I tell you the way to the station.

These trees grow quickly.

I do my homework after dinner.

My classmates call me Ken.

I want to eat soba.

I send you some pictures of my family.

There is an old church near my house.

I make my mother angry.

She gets well soon.

She has a baby on her back.

I live in Kyoto with my sister.

如何でしたか？

毎日続けられましたか？

大事なのは30分、読んで発声することを、毎日継続することです。

４ヶ月続ければ、誰でも基礎が身に付きます。