目次

はじめに：簿記2級とは何か？
簿記の基礎総復習
仕訳の基本と応用
現金・預金・手形・有価証券
商品売買と棚卸
固定資産の会計処理
貸倒れ・引当金の仕訳
給与・賞与・社会保険・税金
社債・株式・資本金
決算整理と精算表
伝票会計・特殊仕訳帳
原価計算の基本
材料費・労務費・経費
製造間接費・部門別計算
本社工場会計・内部利益
直接原価計算・標準原価計算
会計諸表の読み方・分析
最新傾向と本試験対策
実戦練習問題（詳細解説付き）
予想模擬試験・解答
資料・索引

1. はじめに：簿記2級とは何か？

1-1. 簿記2級の位置付け

簿記2級は、企業会計の実務に直結する知識と技術を証明する資格です。日商簿記検定では、毎年多くの受験者が2級を目指し、社会人・学生問わず幅広い層が挑戦しています。2級の内容は商業簿記と工業簿記に分かれ、会社の日常的な取引から決算業務、さらには原価計算や工場会計までを幅広くカバーします。

1-2. 本書の特徴と活用法

本書は「流れるような文章で、初学者にも理解しやすい」を最大のテーマとしています。基本から応用、そして本試験の対策まで、章立てごとに論理的に内容を積み上げ、イメージしやすい具体例や図表も豊富に取り入れています。

また、章末にはポイント整理と練習問題を掲載し、学習の理解度を都度チェックできます。

2. 簿記の基礎総復習

2-1. 簿記とは何か？

簿記とは、企業などの経済活動を記録・計算・整理し、その結果を報告するための技術です。簿記の目的は「財政状態」と「経営成績」を明確にすることにあります。

企業では、毎日の取引を「仕訳」によって帳簿へ記録し、期末には「決算書」として集約します。これにより、会社の現状や将来の方針を的確に判断できるようになります。

2-2. 簿記の5大要素

簿記では、すべての取引を「資産」「負債」「資本」「収益」「費用」の5つの要素でとらえます。

資産（Assets）：現金や預金、商品、建物など、企業が所有する価値あるもの
負債（Liabilities）：支払い義務のある借入金や未払金など
資本（Net Assets）：資産から負債を差し引いた、純粋な企業の持ち分
収益（Revenue）：商品の売上やサービスの提供などによる収入
費用（Expense）：仕入や人件費、家賃など、収益を得るために使ったもの

2-3. 仕訳の基本

簿記のすべての記録は「仕訳」から始まります。仕訳は、取引ごとに「借方」と「貸方」に分けて記録します。例えば、現金で商品を仕入れた場合、

コピーする

編集する

（借方）商品 ×××円　（貸方）現金 ×××円

このように、取引の内容を左右に分けて記録するのが簿記の基本です。

3. 仕訳の基本と応用

3-1. 仕訳の練習

簿記検定の学習では、まず仕訳を素早く・正確に切れることが合格のカギとなります。実際の取引例で考えてみましょう。

例1：商品の仕入

現金で50,000円の商品を仕入れた。

借方：商品 50,000
貸方：現金 50,000

例2：売掛金の発生

顧客に商品を100,000円で販売し、代金は後日受け取ることにした。

借方：売掛金 100,000
貸方：売上 100,000

3-2. 応用仕訳

手形取引

商品の仕入や売上は、現金・掛けだけでなく「手形」を使った取引もあります。

買掛金の支払いに約束手形を振り出した場合
借方：買掛金 ×××
貸方：約束手形 ×××

有価証券の売買

企業が短期的な資産運用として有価証券を購入・売却する場合の仕訳も2級範囲です。

4. 現金・預金・手形・有価証券

ここでは、日々の現金出納、預金管理、手形取引、有価証券の会計処理について学びます。

現金過不足の処理
当座預金・普通預金の違いと記帳方法
手形の裏書・割引・不渡りの仕訳
売買目的有価証券の会計処理

第1章　はじめに：簿記2級とは何か？

1-1. 日商簿記検定2級の全体像

簿記検定2級は、日本商工会議所が主催する日商簿記検定の中核資格です。2級を取得することで、企業の会計実務の基礎から応用までを体系的に理解し、経理担当者としての即戦力を証明することができます。社会人はもちろん、大学生・高校生、さらには転職やキャリアアップを目指す方にも幅広く支持されています。

2級は「商業簿記」と「工業簿記」の2科目で構成され、合格には両方の知識が不可欠です。商業簿記では主に会社の販売活動や財務活動を、工業簿記では製造業のコスト管理や製品原価の計算を扱います。2級の学習は、1級や税理士・会計士などの難関資格へ進むための基礎固めとしても役立ちます。

1-2. 簿記2級で身につく力

2級を学ぶことで、次のような力が身につきます。

仕訳力：複雑な取引でも正しく記録できる
決算力：月次・年次の決算業務をこなせる
原価計算力：製造業における製品の原価管理ができる
会計的思考力：ビジネス全体を数字で把握し、分析できる
自己成長・キャリアアップ：就職・転職・昇進に有利

これらはすべて実務に直結しており、「数字に強い人材」としての信頼を得られます。

1-3. 最新の出題傾向と合格戦略

2025年現在、日商簿記2級の試験傾向は「より実務に近い内容」となっています。頻出テーマは、連結会計、電子帳簿保存法、キャッシュレス決済関連、原価計算の細分化などです。また、記述式だけでなく選択式・多肢選択式の問題も増加傾向です。

本書は、最新の出題傾向を徹底的に分析し、合格に必要な知識・解法テクニック・時短テクニックも随所に盛り込んでいます。学習の初期から「合格に直結するインプット」を意識しましょう。

1-4. 本書の使い方

本書は、初学者から独学受験者までを対象に、下記の流れで学べる構成としています。

各章冒頭で「章のポイント」を提示
重要テーマは実例・図解・コラムで徹底解説
練習問題で知識を定着
巻末に総まとめ・模擬試験

また、すべての解説・例題は「なぜそうなるのか」を重視。丸暗記に頼らず、「理解しながら覚える」ことができる設計です。

1-5. 合格までのロードマップ