■ 目次

第I部 AIとディープラーニングの基礎知識

AIとは何か
機械学習とディープラーニングの概要
AIブームの歴史と現状
G検定（ジェネラリスト）とは

第II部数学とプログラミングの基礎

ディープラーニングに必要な数学（線形代数、微分、確率・統計の基礎）
Python基礎文法とライブラリ（NumPy, Pandas, Matplotlibなど）
実行環境の構築（ローカル・クラウド・コンテナなど）

第III部ディープラーニングの理論

パーセプトロンからニューラルネットワークへ
活性化関数とロス関数
学習アルゴリズム（勾配降下法、最適化手法）
過学習と正則化

第IV部主要ネットワークアーキテクチャ

全結合層（Multi-Layer Perceptron）
CNN（畳み込みニューラルネットワーク）
RNNとLSTM、GRU
Attention機構とTransformer

第V部生成モデルと大規模言語モデル（LLM）

GAN（敵対的生成ネットワーク）の仕組み
VAE（Variational Autoencoder）
ChatGPTやGPTシリーズなどLLMの概要
生成AI時代における倫理と課題

第VI部ビジネスへの応用と実装

プロジェクトの始め方と要件定義
データ収集・前処理・アノテーションの実務
モデル構築の手順と注意点
運用・保守と継続的学習

第VII部 AI実用事例と最新動向

製造業（品質検査・需要予測など）
医療（画像診断・創薬支援など）
金融（信用スコアリング・チャットボットなど）
自動運転・ロボティクス・IoT連携
2025年時点の新トレンド・研究テーマ

第VIII部倫理・法規制・リスク管理

AI倫理の基本概念
データプライバシーと個人情報保護
政府・業界のガイドラインと規制
AIが引き起こす社会課題とリスク管理

第IX部 G検定試験対策

出題傾向と対策のポイント
頻出用語リストと意味の整理
模擬問題と解説（基本編／応用編）
学習スケジュールの立て方と効率的な学習方法

第X部まとめと次のステップ

これからのAI人材像とキャリアパス
実務で活かすための継続学習
海外事例と国際的視点
まとめとさらなる発展へ

■ 第1章本文サンプル

（ここでは、第I部第1章の冒頭部分をサンプルとして執筆します。

本書全体でおよそ50万字を想定し、第1章も最終的には1〜2万字を目安とした分量を予定していますが、以下は導入部分のみをサンプルとして示します。）

第I部　AIとディープラーニングの基礎知識

第1章　AIとは何か1.1 AIをめぐる誤解と期待

近年、「AI（人工知能）」という言葉はあらゆるメディアで目にするようになりました。テレビニュースでの特集、雑誌の見出し、ビジネスカンファレンスのキーノートスピーチ──いずれにもAIが大きく取り上げられ、多くの人が「AIが世界を劇的に変えるのでは」と期待を寄せています。一方で、「AIは何でもできる魔法のような存在」「コンピュータが人間を超え、人類を脅かす」といった極端な見方やSF的なイメージも根強くあります。

このような誤解や過度な期待は、AIが「人間に代わって思考し、自発的に行動する存在」であるかのように捉えられていることが原因のひとつです。実際には、現在のAIの多くは「特定のタスクに最適化されたソフトウェアやアルゴリズム」であり、人間のような自由意志や汎用的な知能を備えているわけではありません。

しかし、ある特定の課題については、膨大なデータを学習して高い精度の推論を行うなど、「人間の経験や直感を超える成果」を出すことができるのも確かです。こうしたAIの「強み」と「限界」を正確に理解することが、G検定（ジェネラリスト）の合格だけでなく、実社会でAIを活用するうえでも大きな武器となります。

1.2 AIの定義と領域

AI（Artificial Intelligence）という用語自体は1956年のダートマス会議で誕生し、「機械に知的行動をさせることを目指す研究分野」と定義されました。当時はAIのアプローチとして、主に論理ルールの組み合わせや探索アルゴリズムを用いたシンボリックAIが注目されていました。しかしその後、コンピュータの処理能力の限界や、現実世界の複雑さを扱いきれなかったことなどから研究は紆余曲折を経ます。

今日ではAIという言葉が大変広義に使われているため、一概に「AIとはこれだ」と限定的に定義するのは難しい場合があります。ただし、**「人間の知能をコンピュータなど人工物で再現・拡張しようとする概念・技術の総称」**と捉えれば、おおむね間違いないでしょう。

このAIの大きな枠組みの中に「機械学習（Machine Learning）」が含まれ、その一部が「ディープラーニング（Deep Learning）」です。さらに、ディープラーニングを支える一連のニューラルネットワーク研究が急速に進化し、現在では「大規模言語モデル（Large Language Model: LLM）」や「生成AI」といった技術領域へと広がりを見せています。

なお、本書でメインに扱うのは「機械学習」や「ディープラーニング」、その周辺技術（データ分析、インフラ構築、応用分野など）ですが、AIという言葉の成り立ちや歴史的背景を知っておくことは、技術的な理解だけでなく、ビジネスや社会へのインパクトを考えるうえでも重要です。

1.3 AIブームの変遷

AIブームは過去に数回訪れましたが、大きく分けると以下の3つの時期がよく引用されます。

第1次AIブーム（1950年代〜1960年代）

シンボリックAIの隆盛。チェスプログラムや定理証明プログラムがメディアをにぎわす。

第2次AIブーム（1980年代）

エキスパートシステムが脚光を浴び、大企業が競ってAI研究に投資。しかし計算量や知識獲得の問題で失速。

第3次AIブーム（2000年代後半〜現在）

ビッグデータとGPUなどの高速計算環境の出現により、ニューラルネットワーク研究が再び注目。Deep Learningがブレイクスルーを引き起こす。

第3次AIブームは、ディープラーニングの急速な発展やクラウドコンピューティングの普及に支えられています。特に2012年の画像認識コンペ「ImageNet」で、深層学習を用いたモデルが圧倒的な性能を示したことはAI技術の大きな転機でした。その後、自然言語処理や音声認識などさまざまな分野でブレイクスルーが起き、いまやAIは企業や社会インフラを支える基盤技術となりつつあります。

1.4 本書が目指すゴール

G検定（ジェネラリスト）は、AIとディープラーニングに関する基本的な知識を幅広く身につけた人材を認定する資格試験です。本書では初心者の方でも段階的に理解を深められるよう、最新の技術動向やビジネス活用例をまじえながら解説していきます。読者のみなさんが本書を読み終える頃には、

AI・機械学習・ディープラーニングに関するキーワードと概念をしっかり説明できる
G検定本試験で頻出のテーマ・用語を網羅し、合格レベルの実力が身についている
ビジネスや研究の現場で、AIプロジェクトに参画するときの基礎知識・心構えがある

といった状態になることを目指します。

AIを学ぶということは、単に技術を暗記することではなく、「何ができて、何ができないのか」を正しく理解し、それをどう社会やビジネスに活かすかを考えることでもあります。本書を通じてAIの可能性と限界を理解し、みなさん自身のキャリアやプロジェクトに役立てていただければ幸いです。

第I部　AIとディープラーニングの基礎知識

第1章　AIとは何か

1.5 AIが注目される理由──2025年の視点

AIブームは過去にもありましたが、2025年現在、社会や産業構造を大きく変える革新技術として再度脚光を浴び続けています。その理由の一端は以下の点にあります。

デジタルデータの爆発的増加
インターネットやSNS、IoT機器の普及により、テキスト情報や画像・動画データが膨大に生成・蓄積され続けています。これらのビッグデータを分析・活用するために、AIを活用する動きが加速しています。
コンピューティングパワーの向上
CPUやGPU、TPUなどの計算能力が飛躍的に向上し、クラウド上で安価に利用できるようになりました。巨大なモデルや膨大なデータを高速に処理する環境が整ったことで、ディープラーニングの研究や実装が一気に加速しました。
アルゴリズムの進化
深層学習（ディープラーニング）のブレイクスルーやTransformerモデルの登場により、画像認識や自然言語処理の精度が格段に向上しました。2024～2025年には、生成AIや大規模言語モデル（LLM）が実務に導入される事例も増えています。
ビジネス・社会ニーズの高まり
人手不足やコスト削減、効率化、サービス高度化など、企業・組織が抱える課題をAI技術によって解決する動きが進んでいます。日本国内でも政府のDX推進施策やAI導入支援策が拡充され、社会全体でのAI利用が促進されています。

こうした背景から、AIを正しく理解し、自社や業務に適切に活用できる人材（ジェネラリスト）に対する需要は一段と高まっています。G検定はその一つの基準として、多様な業種・職種の受験者が増えているのです。

1.6 AIの「できること」と「できないこと」